ひろたん さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
お互いの時計の針を同時刻にぴたりとあわせることができない、だけど時間は動き出す
ん?これは面白いのか??
歯に衣着せねば、つまらない!?
見始めのころは、正直、そう思いました。
絵はきれいだし、ところどころ面白い。
お姉ちゃんに関する話もよかった。
けれども、目的もなく続く日常パートに対し、
最初のころは、常に「?」マークとの格闘でした。
しかし、1期目最終話(13話)。
とたんに今までのペースはなんだったのかな?的な急展開。
そして、5年後。
なるほど!
これは、学生のころに意識しあっていたけど結局答えを出さないまま、
あるきっかけを境に会わなくなってしまった男女が、時がたって再会し、
今度は、お互いの交錯する気持ちの中で答えを見つけていく”ドラマ”なんだ。
と、言うことに2期目を見始めて、や~っと気づきました。
昔の「月9(ドラマ)」っぽい展開ですね。
後期OPのタイトルに登場人物が並んでいる絵。
各話の最後のシーンに重なってED曲が入ってくる雰囲気。(特に23話)
これらの演出もまさにそれっぽい!?
1期目は、あくまでも前段にすぎません。
「凪」の意味も分かるのも2期(14話)からです。
2期目に突入するあたりで、自分もこのお話しの見方がやっと分かってきました。
そのとき始めて、面白いなとも感じ始めました。
ちょっと前置きが長すぎやしないか!とも思いましたが・・・。
最初、ファンタジー設定に騙されそうになりましたがこれはドラマです。
「学生時代→時を経て再会の恋愛」の王道カテゴリーでした。
それではファンタジー設定は、何のためにあるのでしょうか?
この物語の登場人物たちは、それぞれ違った5年間を送ることになります。
{netabare}
・時間も成長も止まっていた人
友達や世の中の変化に複雑な気持ちになります。
・普通に生活をしてきた人
育んできた何かがあるはずです。
・年上の憧れの人と結果的に同い年になってしまった人
憧れから恋愛対象に変わります。
・記憶を失ってしまった人
自分の中にあった大切な気持ちは何かに悩みます。
{/netabare}
つまり、お互いの成長度合いや置かれた状況に差を
つけることによって、再会物語をただの再会物語ではなく、
より複雑で深いものにしてくれる役割を果たしています。
仮にみんながあの狭い世界でいつも一緒にいて、
同じように歳をとっていたら、心の中は単純に、
「変わったもの」、「変わらないもの」程度の構図
にしかならなかったかもしれません。
しかし、時間軸や状態をずらすことにより、
「変えたくないもの」、「変えたいもの」と言う構図、
「失くしたもの」、「新しく得たもの」と言う構図をも
さらに持ち込んできたと言うことです。なんて複雑!
5年と言う歳月は、このように登場人物たちの心のすれ違いを生み出しました。
お互いの時計の針を同時刻にぴたりとあわせることができないにも関わらず、
再会をきっかけに止まっていた時間は、いやおうなく動き出します。
その事実を登場人物たちが受け止め理解したとき、
それぞれ、どのように悩み苦しみ、そして答えを導き出していくのでしょうか。
このお話の面白さはここにあると思います。
これだけ複雑な心の構図のせめぎあいを登場人物たちにさせてるわけですから、
結末も当初の人物相関図通りの分かりやすい結果とはならない部分もありました。
しかし、ドラマとしてみればとても面白いと思います。
この話は、脚本家の登場人物たちに対するサディスティックさが見え隠れします。
もがけ!苦しめ!そのためならどんな意地悪な展開もありだぞ。
そんな執念すら感じます。
それを綺麗なファンタジーで上手くオブラートに包んじゃっているものだから…。
ちょっと背筋がぞくっとします。
最後は、本当に綺麗にまとまっている物語だったと思います。