シボ さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
言葉は時に人を傷つけるし、時に人を救います!
幼き頃の山の上のホテルでの出来事。
想像力豊かだった少女は、父親の出ていく時の言葉の刃で
きっと必要以上に心を傷つけられてしまったのでしょう。
そんな心に傷を負ったままの高校生少女成瀬順が、
ある日「地域ふれあい交流会」の
実行委員会に
坂上拓実、仁藤菜月、田崎大樹の3人と共に選ばれることから
動き出す青春物語です。
実行委員会のメンバーは
それぞれが悩みや葛藤を抱えていて序盤は他の人に気持ちを思いやる
余裕なんてありません。
時に心の声を爆発させてひた向きに頑張る順の姿が徐々に
周りの空気感を変えていきます。
言葉を発せないけど、携帯での高速タッチによって溢れ出る思いを
ぶつける順に対して
言葉を発せない彼女を色眼鏡で見ることなくそのちょっと面倒な
やり取りにも真摯に
付き合う優しい拓実は、順の苦しかった心の傷を知って寄り添う
うちに無自覚だった自分の傷も少しずつ意識し、癒されていきます。
そんな二人の関係がとても素敵でした!
付き合っていたのにメアドさえ知らなかった菜月とはうまくいかなくて
当たり前だし、菜月が順に嫉妬するのもわかります。
すぐ熱くなるけど間違っていることを認めることが出来て、
後輩にでさへ実直に謝ることの出来る田崎。
拓実への想いがありつつも実行委員として頑張る菜月。
何気に凄いのはこのメンバーを選び、やんわりと
導いていく先生なんですけどね~。
そして一生懸命な姿にほだされて、クラスがミュージカルの成功と
いう目標へ向ってまとまっていく姿がなんだか熱くて、眩しくて
観てて気持ちが良かったです。
そしてクラスで作り上げたミュージカルが素敵なんです!!
ミュージカルってセリフがそのまま歌になったり、
突然踊り出すキャストに意味がわからないって苦手な人も多いと
思いますけど、
自分は歌やダンスが元々好きだったり、わりと
とんでも設定も受け入れられるせいなのか大好きなんです。
順が実体験をもとに考えるオリジナル作品。
舞台ならではの空気感や臨場感、手作り感が伝わるこの子達の
一生懸命の発表シーンは、もし現場の体育館で観てたら感動した
だろうな~って思える暖かさがありました。
自分を救い出してくれると信じて恋心を抱いていた拓実の気持ちを
知ってしまい本番直前に逃げ出してしまった順。
山の上のホテルでの順と拓実の言葉を尽くしてのぶつかり合い。
「しゃべったりするから不幸になった」
自分のおしゃべりのせいと苦しむ順に拓実は
「傷ついても良いから本当の言葉を聞きたいんだ」
順に心の声を叫ばせます。
そしてそれは自然と涙する拓実の心も開きます。
「私・・言いたい事、もう一つあった。 私坂上君が好き!」
順のむき出しの気持ちに正直に答えるしかない拓実
「ありがとう、でも俺、好きなやついるんだ!」
「うん、知ってたよ」
順が埋もれてた心の声を思いっきり叫ぶのに対して
拓実が本当に優しく落ち着いた相槌で返すこのシーンはとても
素敵でした。
それなのに、失恋しちゃう順の姿に泣けちゃったよ~~。
本当の心を伝えるって素晴らしいけど切なくもありますよね。
終盤、舞台への順の登場シーンは
ハプニングもミュージカルに奇跡は付き物って言っちゃう
先生の言じゃないけど
ピンチを最高の演出にしちゃう展開に感動させられちゃいました><!
(娘の辛い気持ちに気づいて母親が涙する最中
後方から歌いながら歩んでくる順の姿、歌声がとても堂々としていて
伸びやかで、あ~~いつの間にか涙溢れて止まらないよっ・・)
そしてベートーヴェン「悲愴」
オズの魔法使いの「Over The Rainbow」二つの楽曲が絶妙に
絡み合う順と菜月のハーモニーから全員での合唱でのフィナーレ。
こんな暖かくて心のこもった合唱は涙止まりません・・・。
舞台終了後の高揚感、達成感もあってか
直球勝負の田崎の順への告白に驚いたもののなんか微笑んじゃいました。
(こんなにも感情豊かで熱い情熱をもって一生懸命に殻を破ろうと
頑張る順を好きになっちゃう田崎君は分かってます。
驚いて顔を赤くして動揺する順がやっぱり可愛い~~!!)
そして拓実と菜月、真っすぐ向き合いやり直そうって姿に
やっぱり青春いいな~って思えるラストでした。
乃木坂の曲でのエンドロールは、
若くてキラキラした青春を感じる華やかな楽曲で意外と良かった。
本音をぶつけられる素晴らしさ、行動する若さの素晴らしさ
爽やかな余韻が残る素敵な作品でした。