nyaro さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
面白いし欠点もない。テーマもある。ですがなぜか話題になりません。
面白いです。さすが大御所で数多くの脚本を手掛けた原作者。ストーリーやキャラ設定、舞台設定そしてテーマもしっかりしていました。
テーマは異種文明というか文化、思想、価値観が混ざり合うプロセスで起こる出来事を描いた作品でした。人間側の文化や風俗が入り込んだ退廃を嘆くファルヴァーニ側と、人間側の世界に入ったセマーニ人の貧困問題。そして、両者が混ざり合う街で起こる様々な犯罪を解決する刑事ものとなります。この犯罪の動機がエピソード毎のテーマになっていました。
2人の主人公はこういった状況が生み出す事件に立ち向いながら、対立しながらも尊敬しあうようになります。バディものとしても刑事ものとして、異形のものと戦うファンタジーアクションとしても楽しめます。
コミカルとシリアスが程よく混ざっていますし、ハリウッド映画で描く犯罪映画みたいな雰囲気はちょっとわざとらしいですが、良く描けていました。ハードボイルド的なストーリーと絵柄もよくあっています。
ヒロインの女の子は相当可愛いし、異文化の貴族としての誇りと人間に無知なことが作り出す失敗が魅力的でした。
キャラデザ、作画、演出どれもかなりの出来栄えです。刑事アクションものとして動きもカメラワークも迫力があります。トータルでは、かなり面白い、出来のいいアニメと言えるでしょう。
追記 作画がひどいという意見もわかりますが、動きの中の話で見苦しくないし、止め絵は良いので私は普通に良かったと思います。
ということで、欠点がほとんど見当たらないほどいい出来のアニメなのですが、なぜかあまり人気になっていない様です。理由をちょっと考えてみましたが、ひょっとしたらという理由を上げておきます。
1つはテーマの古さです。既にネットワーク社会で、人種差別や性差別はあっても、文化や価値観の違いはもう地球上にはほとんど残っていません。本作の主人公2人の対立は、単に異世界人というキャラ設定に基づく「お話」に見えてしまう人もいるでしょう。人によってはテーマの存在にすら気が付かないのではと思います。
その証拠に異世界転生ものでも、この異文化間が混ざり合う軋轢、価値観の差というテーマのストーリーは全くと言っていいほど見当たりません。現世の価値観から逃げたいというニーズはあっても、歩みあい認め合うまでのストレスは時代のニーズに合わないといってもいいかもしれません。
キャラデザのリアルさです。本作のヒロイン、エクセディリカの作画は鼻の穴があります。これは珍しいです。人物をリアルに描こうという意気込みが感じられる作画ですが、時代遅れですよね。萌えになりづらいです。2次創作でも人気がないのではないでしょうか。
その他、登場人物の多さや、登場人物の年齢層、セックスとドラッグが描かれていること等々最近のアニメ作りでは、避けられている手法が用いられています。
これらが昨今のアニメ作りから見ると非常に古い感じがしました。