ひろたん さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
子供の頃に見たヒロインは、今でも自分のヒロインでした。
このお話は、主人公が引っ越した日に街で偶然に出会った
とても可愛いヒロイン鮎川まどかに初恋をします。
しかし、その子は、転校先の学校では随一の不良少女でした。
最初に出会ったときの印象とまるで違ったのです。
これは一体どういうこと?ってところから話が始まります。
鮎川まどかは、不良だけど実は頭脳明晰、スポーツ万能、おしゃれも遊びも上級。
しかし、こと恋愛については、すごく奥手で不器用と言うギャップがあります。
一方、主人公のことが大好きなサブヒロイン檜山ひかるも登場します。
こちらは、周りの目を一切気にしない積極的なタイプでまどかとは対照的です。
役者が揃ったらあとはお決まりの三角関係王道ラブコメになっていきます。
つまり、主人公の優柔不断さとお互いの勘違いから生まれるすれ違いがひたすら重なっていくストーリー展開です。
この作品は、主人公と鮎川まどかのもどかしい展開を楽しむ作品です。
いや、もっと言えば、鮎川まどかを観るための作品って言って良いほど彼女の心情変化が面白いのです。
■ある秘密について
この作品は、子供のころ観たことがあります。
途中の話は全然覚えていません。
それなのに1話目の最初のシーンと最終回の最後のシーンだけは、鮮明に記憶に残ってる不思議な作品です。
基本的にドタバタ劇ですが、最終回の最後のシーンだけは、今までと180度雰囲気が変わって、しっとりとやわらかく、それでいて、さらさら爽やかで、とても静かで落ち着いた時間が流れていました。その余韻がずっと心に残っている作品です。
実は、この話、48話もありますが、最後の最後にきて、ある秘密が分かると言うとんでもないストーリー展開なのです。
それまでは、ひたすらそんな秘密があるなんて気づかせてもくれません。
A級戦犯レベルの秘密主義です。
その秘密については、第1話の最初のシーンにヒントがあるのですが、その後、40話以上も観ているとそんなの忘れてしまいます。
しかし、最終話を迎え、実は第1話の最初のシーンが伏線だったことが分かると、なんとも言えない気持ちがこみ上げてきます。
これは、最終話まで観た人にしか分からない、特別な気持ちです。
この最終話、最後のシーンのためだけに今までの話があったとさえ思えるほどです。
■演出の仕掛けについて
この作品は、主人公の中学3年の1年間分の話を1年間(4クール48話)かけて放送しています。つまり、夏休み、クリスマス、正月、バレンタイン等のイベントや登場人物の服装がすべて現実のカレンダーと季節に同期しながら進んでいくのです。
自分も子供の頃、再放送でしたが1年間かけて観ました。
するととんでもないことが起こるのです。
鮎川まどかとの最初の出会いから最後のイベントまでの主人公の体験が、あたかも自分が体験したかのように感じられるのです。
当然、自分の鮎川まどかに対する気持ちも1年間かけて醸成されていくのです。
感情移入レベルの話ではないですよ。もう自分の実体験になってくるのです。
これ、子供には毒でしょ(笑)
この状態で、最終話を迎えるので、結果的になんとも言えない余韻と印象が残る作品になります。
■キャラクターについて
30年以上前の作品ですからキャラデザは若干古さは感じます。
しかし、すぐに気にならないレベルです。
当時、それだけ洗練されていたのだと思います。
それよりも、登場人物たちの魅力がすごいのです。
それは、なぜだろうと考えると、目を中心とした顔の表情が非常に豊かなのです。
特に鮎川まどかなんて、口で喋るよりも、目で感情を表現するキャラです。
猫の目のように表情がころころ変わります。
それだけに、とても可愛いのです。
今見ても、魅力的なヒロインに思えました。
子供のころに観たヒロインは、いつまでたっても自分の中ではヒロインなんだなぁ
ってあらためて実感したのでした。
■以下「ある秘密」のネタバレ
{netabare}
ちょっと前に「時をかける少女」を観て、どうしてもこのお話がまた観たくなりました。
つまり、「実は過去に会っていました」系のお話です。
お話の内容は、「劇場版シュタインズ・ゲート」の男女逆転版です。
過去の初恋、そして、ファーストキスの相手が、実は、今、目の前にいる大切な人だったという話です。
過去では髪が短くボーイッシュだった鮎川まどかが、今は、髪を伸ばしスカートも履いてちゃんと女の子の恰好をしているのも、そのとき主人公に「そうした方が可愛いよ」って言われたからです。
第1話の最初のシーンに登場する鮎川まどかが主人公にあげた赤い麦わら帽子は、実は過去に戻った主人公自身が彼女にあげたものなんです。ここで過去と現在がつながり円環になります。
最終話のサブタイトル「恋つかまえた そしてダ・カーポ」の「ダ・カーポ」は、イタリア語で「頭(はじめ)から」、音楽記号の「曲のはじめに戻る」の意味です。
このお話では、こんなステキな内容を47話目までずっと隠し通してきたんです。
視聴者のヒロイン鮎川まどかに対する気持ちを1年間もかけて育んできて、最後にトドメを指してきたって感じです。
どおりで最後だけ強烈な印象が残っているわけです。
自分がタイムリープ物が好きになったのは、「時をかける少女(大林監督版)」とこの「きまぐれオレンジ☆ロード」の2つがあったからです。
{/netabare}
途中の話は、正直、今、見ると辛い(面白くない)ものもあります。
でも、やっぱりこの最後があるからこそ、この作品は想い出の1ページなのです。