nyaro さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
希少なスペースオペラもの。ジュブナイル的なラノベに歴史を感じます。
アニメは奇麗ですね。スペースオペラにふさわしい宇宙船や宇宙空間の画作りで、迫力もあり何よりカッコ良かったと思います。キャラも可愛いしデザインが萌えではない感じが良かったです。女子高生の海賊服姿はなかなか…というか素晴らしいと思います。
物語に継続性があって主人公も成長してゆきますが、基本数話のエピソードの積み重ねですので、飽きずにかなり面白く見られました。
主人公とその周辺の性格造形がちゃんとできていて、キャラも非常に良かったと思います。
ストーリーは、なんというかラノベというよりは古き良きジュブナイル的な手法が色濃く残っていたと思います。
ラノベの良さは大人にならないこと、女子の比率が高いこと、狭い世界の人間関係で物語が回ること。そして恋愛がないまたはハードではないことです。
そしてジュブナイルの良さは大人の世界に思春期の少年少女が飛び込むこと、そして親離れだと思います。したがって性愛がどこかで出てくる感じです。本作はジュブナイルとラノベの特徴がミックスされたような印象です。
作家が古い世代のSF作家の人なのでこうなったのでしょう。結果として、これがいい味になっています。女子高生としての顔と海賊世界に飛び込んで大人の世界を知る。だけど恋愛はまったく描かれない。ラノベとジュブナイルの特徴が非常に面白い組み合わせになっていました。
親についてはスターウォーズ以降の死んだはずの父親身分を変えて息子・娘を見守るか敵となるという手法も入っています。これはさよなら銀河鉄道999でもありましたが、ラノベでは見なくなった手法だと思います。つまり、ラノベにおいて一部例外はありますが親はノイズなわけです。なろうに至っては現実世界からの逃避が願望なのに現実世界の親がいてはいけないということでしょう。もちろん転生先の親はいますが。
そもそもスペースオペラがジュブナイルというか古典SFですよね。日本では高千穂遥でしょう。その中でも戦争ものではなく個人または個人的な集団が宇宙を股にかけて活躍するタイプでは、最近のSFアニメでは2010年代ではスペースダンディくらいしか思いつきません。それ以前でもカーボーイビバップやクラッシャージョー、ダーティーペア、タイラーくらいでしょうか。(追記 2002年のキディグレードとか忘れてました。探せばいろいろあるかもしれません)
作品そのものは宇宙海賊という設定、辺境世界、保険組合、学校やSFの技術設定などさすが本職のSF作家の原作です。過去からの因縁もちゃんと設定されています。
ももクロZというアイドルグループが曲を担当しています。私でも名前は聞いた事があるくらいなので有名なのでしょうが、これがなかなか馬鹿にできません。歌上手いしいい曲だと思います。多分声優さんじゃないですよね?
追記です。スペースオペラという言葉は蔑称もありますが私は敬意を持った意味で使っています。定義としては西部劇的な個人の冒険が入っていること、恒星間飛行ができて複数の惑星社会があることを条件にしています。
ロボットもの(ガンダム等多数)はスぺオペではないと定義しています。銀河英雄伝や星界の戦旗またはスターウォーズなど本来的な意味ではスぺオペでもありますが、帝国史・国家間の戦争ものは個人的ではないのでここでは外しています。星界の紋章はスぺオペでした。
アシモフのファウンデーションやロボットものの後期やヴォルコシガンシリーズはスぺオペとして楽しんでいます。