cntc さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
尻すぼみが激しい作品
とても惜しい作品だったと思います。
ストーリー的には進化したAIが人類を滅ぼそうとするという王道の内容です。
序盤はその作画やストーリーがとても良く、引き込まれました。
特に {netabare} 2話のラストで起こった飛行機事故とその際のマツモトのセリフには、これからのviviの100年がとても辛く過酷な道のりになることを強く想像させます。
あのラストで私はこの作品に一気に引き込まれました。 {/netabare}
しかし話が進むにつれ、その一つ一つの出来事で登場する人物たちの背景や心境といった部分に感情移入することができませんでした。
{netabare} 垣谷に関してはもっと丁寧に描写できなかったのでしょうか。
各シンギュラリティポイントでのみ登場するキャラクターたちと違って、何度も登場する垣谷はとても重要なポジションだろうと思っていましたが、物語にとっても、viviにとってもそれほど大きな影響を及ぼしたとは私には見えませんでした。
最後には自分自身も嫌っていたロボットの体になってでもviviに強いこだわりを持っているようには感じられなかった。
少なくともオフィーリアと並行して語れるようなものでは無かったように思う。
また、各シンギュラリティポイントで改変しても、その結果はAIの発展をより加速しているように見えていて、正史では人気が出ず博物館贈りになったはずのviviが人気を得ているという描写もなにかあると思っていました。
その結果予想通り計画は失敗しました。{/netabare}
ここまではそうなるだろうなと思っていましたし、ここからがこの作品最大の山場として期待していました。
しかし結果としては、今までの作品でもよくあるような締めくくり方で、かつviviにとってもAIにとってもハッピーなのかバッドなのか、制作陣はこの先に何を思い描いていたのか、よくわからない終わりでした。
最後に一瞬映るマツモトとviviは何だったのか。
そして、最大の問題点はこの作品にとって最も重要な「歌」というキーワードが活かしきれていなかった。
歌手に問題があったという意見もありますが、私はそもそも「歌」という大切な要素を作品に落とし込めていなかったと感じています。
{netabare} 問題を解決する際に「歌」を用いるのは最後の最後の1回のみだし、そこまでは基本戦闘で解決していきます。(この戦闘の作画はとても見応えがあってよかった)
そしてその経験の未、「心を込める」という事について、viviなりに答えを見出して最後に歌うというのは、 {/netabare} やりたい事はわかるのですが、どうもそこに納得感が生まれない。
その結果、話が進むにつれて盛り上がりに欠けていき、尻すぼみ感が強くなってしまったのでしょう。
あと、細かいことですが、時折出てくるエグいほど書き込まれた超美麗なカットを使いすぎな気がします。
viviや物語にとって、とても重要な瞬間にのみ使っていれば、その意味も最大になっていたでしょう。
あまりに頻繁に出てくるので、私にはむしろ違和感になってしまっていました。