R子 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
守りたい、この背中
以前、少しだけ住んでいた場所が舞台ということで気になっていた作品。
何気なく観たこの作品は、私がこれまで観たアニメの中でもかなり心に響き、後を引くものとなった。
{netabare} 遠い昔。侍に父を殺されたカッパは仮死状態となっていたが、長い時を経て康一という少年によって発見され、再び息を吹き返す。くぅ、と鳴く声から「クゥ」と名付けられたカッパは、「隠される存在」から次第に「見せる存在」になっていく。ある時、出演したテレビ番組で一人の男が持っていた“カッパの片腕のミイラ”を見たクゥは、「父の腕だ」と、持ち去ってしまう。その後東京タワーまで逃げたクゥは、駆け付けた康一と救助隊によって助けられる。クゥは、康一や家族にこれ以上迷惑をかけられないと、自分がいるべきところへ旅立つ決心をする。康一は、クゥを呼び寄せた者の元へクゥを送り届けるために、段ボールにクゥを入れて宅配便として送る。クゥがたどり着いた先は沖縄。自然豊かな場所で、クゥは康一を懐かしみながらも、父親の腕とともに生きていく。{/netabare}
さて、この作品の感動するポイントは、康一の家族との絆とか、世間から逃げなければならない存在の可哀そうな姿、ではない。
クゥが、現状の生活で康一や家族に受け入れられながらも、自分の父親や自分のいるべきところに思いを馳せている、その小さな背中に背負うものの大きさに心打たれるからだ。
父が人に殺され、一人で遠い未来で目覚め、一人では生きていくこともできず、人と生活を共にした、幼い妖怪。
どれほど心細く、どれほど信じようとしたのだろう…。
段ボールの中の、丸まったクゥを思い出すと、それだけで泣けてきてしまう…。(書いていても泣けてくる)
絵柄は好みが分かれるかもしれないが、この絵柄だからこそ、純朴さが伝わっていると思うし、声優もぴったりだった。
多くの人に知ってほしい作品だ。