螺旋常連からくり剣豪 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:今観てる
1期より確実に観やすくなったが、キャラの使い方が甘い
本家まどマギと比べず、純粋に評価します。
最新話である6話まで視聴済み。
ゲームはアニメ化範囲に該当する1部をクリア済みです。
評価の都合上、1期の内容と絡めて話します。
1期のテンポは最低限の情報提示で進めるためか異様に早く、結果的に原作ゲームをやっている身からしてもかなり微妙な内容でした。
この2期に関しては1期よりも原作ゲームから乖離した内容で進んでいます。現在は原作で言うところの7章、8章、9章を混ぜた感じです。ホテルフェントホープとキレーションランドの合体は思わず笑ってしまいましたね。
良い点としては2期は1期より出来が確実に良くなっていて、テンポの早さに加えて話に厚みが出て来ています。
戦闘シーンは基本高クオリティ。
2期1話の本家キャラクターたちのやり取りと、葛藤を乗り越えての魔女撃破のシーンは純粋に素晴らしい出来です。
これ以外の戦闘シーンも高水準で、魔法少女たちが縦横無尽に駆け回り、本家のおどろおどろしさをしっかり受け継いだ魔女やその半身とも言えるドッペルの巨体が大いに躍動します。
2期5話に出て来たある魔女がリアルな歯を剥き出しにして車両に乗っていた小物どもを喰らうシーンは、こいつは他の奴らとは格が違うことを示しており、原作ゲーム以上に恐ろしい存在と化していました。
そこに立ち会っていたフェリシアの憎しみすらも木端と嘲笑うような鈍重な佇まいは、ボスとしての株をかなり高めています。
ストーリーと一緒にキャラクターの扱いも原作からかなり弄られていて、特にフェリシア、さな、みふゆ辺りはマギウスに対する感情から原作とは異なっています。
この改変は原作より話に緊張感を出すのに一役買っていて、原作ストーリーの欠点であったご都合主義をある程度緩和しています。
キャラクター自体は1部から全体を通して魅力はあり、一人一人にしっかりとした信念があります。
登場キャラクターの多さに甘えず、一人一人のキャラ造形をしっかりと定めているのは純粋に好感が持てる点でしょう。
キャラクター数もソシャゲ原作にしては丁度いい塩梅でまとめられていて、キャラ面では見やすい構成になっています。
悪い点はキャラクターの思想、扱い方と作画に関していくつかあります。
サブキャラクターである水波レナ、秋野かえで、十咎ももこ、黒江の扱い方が尺の都合上、全体的に雑です。
レナ、かえで、ももこについて、絶交階段のウワサとの戦いを終えた後、かえでがドッペルを発現、魔法少女の真実を知り絶望した彼女が二人を連れてマギウスに入団というのが1期における流れでした。
彼女たちは原作とは違い絶交階段のウワサ戦以降、主役であるいろはたちとろくに関わっていないので、いきなり敵になってもえっ……なんやこれ、となったのが私の感想です。
1期だけでもかなり雑なのですが、2期4話でいろはがクロエと一緒にホテルフェントホープに潜入した際にかえでとレナがマギウスの追っ手から逃走してきました。ストーリーの積み重ねが足りないので困惑です。
その後、マギウスの追っ手である働きグマのウワサとの戦闘を経てかえでのドッペルが暴走、いろはとレナに拘束された後にドッペル症候群の患者として中立の立場にある八雲みたまによって半永久的に隔離されました。
悲壮感を演出しているつもりでしょうが、肝心のかえでたちが感情移入できる程出ていないのでストーリー的には微妙なくだりになっています。
そして、アニメオリジナルキャラクターの黒江について。
彼女はいろはと同じ宝崎市出身の魔法少女で、その知り合いとして1期1話に出て共闘をしましたが、あくまで単なる知り合いといった具合で、その関係は希薄でした。
ここでのやりとりはどことなく不穏な空気を匂わせた程度。簡単に言えば強いいろはと弱い黒江を対比したような感じです。
舞台が本格的に宝崎市から神浜市に移る1期2話以降から彼女は出て来なくなり、いろはが電話で連絡しようとしても音沙汰無し。1期13話ラストまで消息不明になりました。そのラストで、いつの間にかマギウスの翼に加入していたことが明らかとなります。
この時点でアニメにおけるキーキャラクターという触れ込みの割には微妙な扱いです。
1期における黒江の心理描写がかなり不足しているので唐突感が拭えません。
少なくとも自然な形で組み込めたであろういろはと黒江の電話のやり取りは必須だったように思えます。
そうした経緯や公式が出していた黒江の触れ込みから、1期で抱えた負債をどう返すのか期待はしていたのですが、蓋を開けると少し物足りないといった印象。
七海やちよと共に、いろはのドッペルに取り込まれた黒江はマギウスに不信感を持つやちよから信用されず置いていかれ、どうしようもない中幻であるみかづき荘のメンバーと束の間のひと時を過ごします。
ドッペルから脱出したその後は1期でやったような温度差の演出や、ウワサ戦でのいろはによる黒江のドッペル発動の制止、いろはから黒江へのお気持ち表明など、二人のやりとりがそれなりに描かれます。
しかし、全体的にいろはが自分の主張を黒江に押し付ける形であり、いまいち二人の距離感を縮める形には寄与できていません。
2期5話ラストにていろはたちはマギウスの追っ手に追い詰められ、いろはを逃すため決意を固めた黒江はドッペルでの偽りながら、みかづき荘のメンバーとの暖かい想い出を糧に戦意を高揚させます。
いろはの言葉に温度差を感じ、飲み込めていない黒江が彼女に共感できるであろう数少ない描写なのですが、なんとこれだけで命を懸ける覚悟まで決めています。
ついさっきまで疎遠だったところから偽りの思い出をバネに奮起したのか、いきなりいろはに背中を預けようとする黒江の姿には困惑しました。
他に似たような描写が複数あれば話は別ですが、いろはと黒江のやりとりは上述したものしか無いので脚本上の違和感が強いです。
また、2期6話にて、やちよがキレーションランドに向かう途中でまどかたちにしていたマギウスの説明についても、敵対しているとはいえ私情が入り過ぎていて首を傾げました。
やちよはマギウスの翼たちのことを自分たちの使命に背いた臆病者と評しました。
しかし、羽根たちはドッペルシステムという一筋の希望を打ち立てたマギウスに付き従うべきだと己の意思で決めたので、彼女たちを臆病者と罵るのは筋違いです。
いろはややちよは灯花が作り出したドッペルシステムに代わる魔女化への対策を打ち出せていないので、そういった方向で口出しするのは間違いと言わざるを得ないでしょう。
マギウスに巻き込まれている一般人たちを気に掛け怒るならまだ分かりますが。
いろはを殺しかけたマギウスに憤っているとはいえ、彼女の無事を確認し、なおかつ心身共に卓越した能力を持つやちよとしてはいささか不適切な発言だったかなと。
作画については戦闘シーン以外はやや荒い出来。作画崩壊はそこそこあります。
特に6話は戦闘シーンも含めてかなり荒かったです。
他のシーンについても見づらいことが割とあり、良く動くのが長所であると同時に欠点にもなっています。
総評して、1期に比べて内容は改善はされているものの、キャラクターの扱いについては1期の積み重ね不足を引き摺ってしまっています。