えりりん908 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
消えゆくものへの憧憬
人は。
生物は。
およそ命あるものは。
かたちある限り、滅び去り、死に逝く。
押井守さんは、
くり返し
くり返し
そのことを考え続けているのでしょう。
そして、
ループする物語としてでなく、
ファンタジーとしてでもなく、
滅亡する定めを克服しようと、
いつも、いつも。
もがき、苦しみ、天上を見据え続ける。
そんな物語。
消えゆく肉体と引き換えにして、
ネット社会の中に、
精神とゴーストを、
生き残らせ続ける。
かたちを捨て去ることで
成し得る形而上の存在。
そんなSF世界の中に
きっと救いを求めたのでしょう。
高尚で聡明で複雑で、
それでいてシンプルな
唾棄すべき憧憬。
私には
その情動は、
人形遣いの
船上の素子へのコンタクトと同様、
聞き入れ収斂することは
叶いません。
きっとそれは
おそろしいことだから。