ひろたん さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

主人公はずっと雨の中...、明日、晴れるかな。

ちょっとクセのあるキャラデザのヒロイン橘（たちばな）あきら。
正直、最初はとっつきにくいかなと思いました。
しかし、それは杞憂に終わりました。

「あっ、すごくチャーミングな女の子なんだ」と、すぐに気づかされます。

このお話は、女子高生がバイト先のタバコ臭い普通のおじさん（店長）に恋します。
ちょっと難しいテーマです。
正直言って微妙なテーマです。
それにもかかわらず、最初から最後までとても爽やかなお話です。
それは、このキャラデザあってこそなんです。


この作品で注目してほしいところは、ヒロイン橘あきらの静かな一喜一憂です。

橘あきらは、普段は、きゃぴきゃぴ喜んだり、わーんわーん泣いたりしません。
すごくデレデレ照れたりもしません。
すべてが物静かでスローモーションなのです。
照れる時もほんの少し視線を落とし頬を赤らげるだけ。口数も少ない。
それでもこちらに感情がすごく伝わってきます。

しかし、例外があります。

それは、物語の序盤。
普段は照れから距離をおいて見ているだけの店長とたまに訪れる会話のシーン。
これは、またとないチャンスとばかりに、気持ちは高ぶり、普段とはまるで別人。
本当に無邪気な女の子になります。

普段は感情を表に出さずもの静かなだけに、彼女の貴重な一面を見せてくれます。
このとき彼女の魅力が自分の中で何倍にも増幅されるのを感じます。
やっぱり普通の女の子だったんだ、と気づかせてくれるからです。


この作品でもう一つ注目してほしいところがあります。

それは、サブタイトル。
１話目は「雨音（あまおと）」ですが、以降も基本的に「雨」に関することです。

そう、主人公はずっと雨の中なんです。

実は、彼女が物静かなのも、とあることが原因で目的を見失い、
なんとなくの日々を過ごしていたからに他なりません。

では、タイトルの「雨上がり」とは、いったい何を意味するのでしょうか？
そして、この長い梅雨空は、いつまで続くのでしょうか？
はたして、彼女の明日は晴れるのでしょうか？

それは、観てのお楽しみです。


ちなみにAimerさんのED曲「Ref:rain」は、とても好きな曲です。

「refrain」は、辞書には「ある行動・欲望を抑える（我慢する）」とあります。
橘あきらと店長は、今までいったい何を抑え込んできたのでしょうか？

このことと作品のモチーフ「rain（雨）」をかけるなんて、
なんて心憎いタイトルなんでしょう！！