ひろたん さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ようこそ、ダークメルヘンな演劇の舞台へ。さぁ、生存戦略しましょうか。
運命に翻弄された人たちの舞台が、今、始まります。
1話目からいきなり涙級のシリアス展開かと思ったのもつかの間、不思議な展開になっていきます。
これは、いったいどういうこと?
この後、どうなるの?
そう思った時点で、おそらくこの世界にハマっている証拠です。
この不思議な世界は、とにかく不思議。
「SF」でもなければ、「ファンタジー」でもない。
そう、「メルヘン」って響きが一番しっくりくるんです。
話の舞台は、東京。ごく普通の街並みなんですが、なんだかいろいろな要素をひっくるめると、まるで「メルヘン」のような話なんです。
では、可愛いかと言いますと・・・。
たしかに現実のちょっとした小道具から、主人公たちが召集されるまるでイリュージョンのような不思議空間、そこに登場するとある少女も、その登場の仕方も、すべてにおいてまるで子供向けかのように可愛い。
しかし、これは徐々にちょっと違うぞと分かってきます。
そう、なんとなくダークなにおいを漂わせてきます・・・。
さて、この物語は、ストーリーの構成、登場人物の見せ方や構図もドラマと言うよりまるで舞台で行う演劇を見せられている感覚になります。
とある少女が不思議空間の中を歩いているシーンは、まるで舞台の花道を歩いているか中央階段を下りているかのようです。
外野の人々は、すべてピクトグラム化されています。これは、とてもおもしろい。(最初は手抜きかと思いました。)これでますます役者たちが強調されます。まるで登場人物だけにスポットライトが当たっている舞台のようです。
各話のサブタイトルも素晴らしと思います。
まるで小説の見出しのような表現です。
例えば、第5話は、「だから僕はそれをするのさ」です。
前期のOP、EDもすばらしいです。楽曲と絵の両方があわさって、とてもおしゃれです。特にエンディング曲は、今回の話をちゃんと締めつつ、次回が待ち遠しくなるように誘導されてしまいます。
次回予告の星野リリィさんのイラストも良いです。
原画の特徴を良く捉えたキャラデザも良いです。
自分は、この作品のように、現実世界と心の内面世界とを行ったり来たりする作品は結構好きです。確かに抽象的な表現も多く、分かりにくい部分もあります。しかし、後日、ふとしたタイミングで「そう言うことか!」って分かってみたりするのが楽しいのです。
ところで、心の内面世界のような抽象的な空間を映像として目に見える形にできるクリエイターさんはすごいですよね。まるで現代アーティストです。
では、最後に。
「生存戦略しましょうか?」
これは、登場人物たちが巻き込まれる行動原理なのですが、「生存戦略」、その意味が分かった時・・・。
さあ、あなたなら、生きるために何をしますか?
大切な人が生きるために何をしてあげられますか?