てぶくろ さんの感想・評価
2.0
物語 : 2.0
作画 : 2.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
ハートフル的な何か
この作品は面白いか面白くないかで言えば、面白くはない。というのも明らかに対象年齢が子供向けであり、さらに言えば小学生を対象にしていたからだ。
原作が児童向け文学なのだから当然なのだが、児童向け文学×脚本 吉田玲子という組み合わせに「若おかみは小学生!」のような作品の再来を期待してしまったこちらが悪い。
この手の作品にストーリーがどうとか言うのは野暮だとは思うのだが言わせてもらう。PVなどを見ると"ふしぎっと"と呼ばれる妖怪や不思議な家マヨイガが魅力的だと思ったのだが、その辺りはあっさりと済まされていたのが残念だった。全体的に盛り上がりポイントが少ないのでさざ波のように話が進行していく。なので終盤の登場人物の見せ場もいまいち盛り上がらない。途中の昔話のパートは演出が凝っていたが、力を入れる所はここじゃないだろうと思ってしまう。これらの事から見終わった後、もっと面白くできたよなぁというもやっとした気持ちが残る。
このもやっとの正体はこの作品の企画自体からくるものではないかと私は思っている。
この作品はフジテレビの「ずっと応援プロジェクト2011+10」という企画の1つとして制作された。簡単に説明すると被災地を舞台にアニメーションを3作品作ろうという企画だ。
おそらくだが3作品の内1つは子供向け映画を作ろうとなり、被災地を舞台にし、児童文学作家として名を馳せている柏葉 幸子原作で、2016年に野間児童文芸賞を受賞したこの作品に白羽の矢がたったのだろう。
そこまでは良いのだが、原作では主人公は家出してきた少女ではなく、夫の暴力から逃げ出してきた主婦であった。その他諸々設定が変更されている。
一概にキャラの設定変更が悪いわけではないが、主人公まで弄ってしまうともうそれは作り手のエゴである。
確かに子供向け映画の主人公が"DVから逃げてきた主婦"だと注目は受けなさそうではある。しかし、原作はキチンと児童向けとなっており賞まで取っている。 そこをねじ曲げて結果、凡庸な作品に仕上がっているのはなんともいたたまれない。
この原作をアニメーションで映像化して面白いものを作ってやろう という気概の見えない「ずっと応援プロジェクト2011+10」の企画の1つですよっという腑抜けた作品であった。