nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
かなりの名作です。金剛の変化とお茶を飲む空間に注目しましょう。
相当ハードなSF作品です。目標を達成することを初期命令として与えられたAIが人間的な思考や感情を持つ話です。よくあるテーマですが、複数のAIや人間が影響しあって進化してゆくのが非常にうまく描けていました。テーマそのものもいいですが、戦艦のキャラが魅力的でストーリーも面白いです。SF的考察というよりもキャラの心の変化を楽しんだ方がいいかもしれません。
1話の萌え絵、厨二的な雰囲気でハードルを上げたのがもったいなかったと思います。
作中でも語られますが、船は女性名詞な言語も多いし、日本語でも空母、母艦ですから女性に擬人化するのは自然…でもないですけど説明はありました。
ストーリーは、話のテンポが良すぎてサラっと進む感じが少し物足りないですが、その分飽きないです。ほぼ無駄な時間は皆無で、中だるみは無いでしょう。
最後、クールな金剛が家族的な愛情や執着などを持ち非常に人間的になるところが本作の見どころでしょう。クールビューティーだった金剛が感情をむきだしにする経過はゾクゾクしました。本作の裏ヒロインといってもいいくらい重要な役割でした。
また、金剛が戦艦ですらなくなった戦闘マシーンで戦闘にはいるとき「戦術システム起動」というシーンで鳥肌がたちました。メンタルモデルはもともと戦術を持たない霧が戦術を学習することを目的としていたわけで、一瞬のシーンでしたがSF的な深さを感じました。
どうやら潜水艦の地位が高い感じでした。401や400、402もそれぞれのAIとしての能力が高いのでしょう。かなり命令系統の上位に近い感じがしました。この辺りはストーリー内では語られませんが、霧同士が集まってお茶を飲む空間はイ401号が作ったことは明示されています。
このお茶を飲む場所というか戦艦同士が集まる場所での会話が、本筋とも言えますので注目しましょう。
タカオ、ハルナ、キリシマ戦や蒔絵を救出するための戦いなどありますが、それぞれ仲間になって行く過程の一つ一つが面白く、戦闘シーンの迫力は相当なものです。
SF的には説明不足なのはありますが本筋はAIの人化あるいは進化なのでほぼ気になりません。唯一、後半で変形したあとのイ401号があの形態だと水流がとんでもないことになって音とか大丈夫だろうか?と言うくらいでした。
映像は、演出やエフェクトも含めてかなりの高水準でした。戦艦の俯瞰やあおりに光と影を組み合わせた映像が素晴らしかったです。また、お茶を飲む空間の色と雰囲気、場面やカットの切り替えでサイバー空間であることがわかる演出なども良かったです。
ほぼ3D作画でしたが、後年のシドニアの騎士に匹敵します。女性のモデルの美しさはこちらの方が上でしょう。金剛の美しさは本当にすごかったです。
クマのぬいぐるみが動いているシーンてどっかで見たなあと思っていたら、ヴィヴィでしたね。
声優さんは戦艦のキャラに非常にマッチしていました。
原作未読で、映画見てないのでこれから見ます。マンガはまだ続いているみたいですね。10年以上前に連載開始だそうで艦これよりも前ですね。かなり前の作品ですが、テーマは2020年代に丁度いい内容でした。