ようす さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
Sing with all your heart -答えを求めた100年の旅-
『Re:ゼロから始める異世界生活』の原作者である長月達平先生と、
リゼロのアニメで脚本を担当した梅原英司さんが、
共同で原案・シリーズ構成・脚本を手掛けたオリジナルアニメ作品。
SFやアンドロイド系はあまり好みの作品がないのですが、
この作品は好みの枠を超えて面白かったです。
何より音楽が抜群に良かった…!
全13話です。
(+総集編が1話あります。)
● ストーリー
時は、2061年。
歌で人を幸せにすること。
それが自律人型AI・ヴィヴィに課せられた使命。
遊園地の小さなステージで歌を歌う日々。
そんな彼女の前に、怪しいAIが現れる。
彼の名はマツモト。
100年後の未来からやってきたという。
100年後に起こる、AIによる人間の虐殺事件。
そんな戦争を起こさせないため、
ヴィヴィに未来を変える使命を持って現れた。
ヴィヴィは不審に思いながらも、
“シンギュラリティ計画”に協力する。
戦争が起こるまでの100年間で、
AI史の転換点と思われる出来事を修正し、戦争を防ぐ。
それが“シンギュラリティ計画”。
13話で100年間を描くので、
作中で時間が進む速度は速いです。
1つの出来事が終了した後、
次は15年後の出来事だったり。
AIにとっては時間の流れはそこまで重要ではないみたいですけどね。
年をとるわけでもないし。
ストーリーは面白かったです。
考えさせられるところもあったし、
何より未来がどう変わっていくのか、ドキドキします。
壮大な物語なので13話だと内容が物足りなかったり中途半端になったりしないかなと心配していましたが、
13話をうまくフルに使った内容で、
見ごたえがありました。
見ごたえがあって満足していますが、
内容は結構悲しくて辛いものが多いです。
未来を変えるといっても、
その転換点で人やAIが必ずしも幸せになるというわけでなくて。
かっこよくて戦闘シーンも迫力があって興奮しているのに、
結末は衝撃的で悲しいもので、
たった1話の中で感情がぐっちゃぐちゃになったりもしました。笑
14話の総集編でヴィヴィとマツモトが旅した100年間を振り返るのですが、
悲しかったり辛かったりな記憶の方が多いんだよな…。
でもこの作品のすごいところは、
それらを“悲しい”“辛い”の印象で残さないところ。
前面に感じるのは、ヴィヴィなど登場人物たちの、使命に生きる姿。
だからなのか、悲壮感が漂ったり鬱な気持ちにはならない、
不思議な作品でした。
もうひとつ、
すごいなと感じたのは伏線の張り方や回収の仕方です。
あれは伏線だったのかー!と回収段階になってから気づく。
もう興奮です。笑
張り方も回収の仕方もうまいし、しかもタイミング的に各話のラストに持ってくるからもう続きが気になって気になって…!
このようなAI系や近未来系って技術的な話がついてまわるところを苦手としているのですが、
この作品はその辺の技術も難しく感じないし、
あらゆる出来事に矛盾や疑問を残さなかったのも、
私的には嬉しいポイントでした^^
● キャラクター
ヴィヴィは「歌で人を幸せにすること」「そのために心をこめて歌を歌う」を使命とするAI。
しかしAIゆえに「心をこめるとはどういうことなのか」がわからず、
悩み続けている。
これもこの作品のテーマの一つ。
ヴィヴィは悩んだり他のAIに聞いたりしながら、
この答えを探し続けています。
不器用だなと思うけれど、
そんなヴィヴィにAIを超えた人間らしさを感じ、愛着がわきます。
マツモトは口やかましくて合理的。
ヴィヴィのやり方と合わなくて
初めは手を焼くし文句ばかりでしたが、
徐々に相棒感が増していくのがもう…たまらん!
cv.福山潤さんがこれまた抜群に良い味を出していて、
なんだかんだ今回一番好きなキャラかもしれません。笑
くまさんの見た目も可愛すぎる^^
他のサブキャラたちも、
出番は多くないのに、心に刻まれている、印象深いキャラが多いです。
● 作画
作画は美しいです。
戦闘シーンの動きは激しくて、
目で追いきれない速さだし、よく動きます。
ヴィヴィ達AIは、
パッと見たところは人間と変わらないけれど、
時々人形っぽい艶を持って描かれ、
「ああ、彼女たちは機械なんだ」と思い出さされます。
そして、目が美しい。
AIの、機械の、作りこまれた、
いくつものパーツが織りなす色の重なり。
目の書き込みが半端ないなと、
つい引き込まれて観ていました。
もちろん、
未来の都市が描かれる背景も美しいです。
● 音楽
【 OP「Sing My Pleasure」/ ヴィヴィ(vo.八木海莉) 】
OPもEDも劇伴劇伴も挿入歌も、
全て神前暁さんが担当しています。
私は神前さんの曲が好きなので、
それだけでもう期待が高まりました♪
このOPはかっこよくて。
最近リピートしまくりの、お気に入りの曲です^^
ヴィヴィは種﨑敦美さんが演じていますが、
ヴィヴィの歌はすべて八木海莉さんが担当しています。
ずっと何かの曲に似てるんだよなーと引っかかっていたけど、
結局「ああそうだこの曲だ!」という答えにたどり着けず。なんだろう。
【 ED「Fluorite Eye's Song」】
歌詞はなく、ピアノのみのED。
歌詞ありバージョンも存在するのですが、
それは全話見終わるまで絶対に聞いてはいけません!
この曲も大好き…
だから音楽は☆5なのです。
他にも挿入歌が何曲かあります。
14話の総集編では、
お話と一緒に挿入歌も振り返れるので、
飛ばしてしまってはもったいないですよ。笑
● まとめ
最終話、きれいにまとめられていました。
終わり方も余韻も、文句なしの終わり方です。
ストーリー、作画、声優、音楽。
どれもが最高の仕事をしていて、
作品のクオリティをより完璧なものにしていたと思いました。
最終話が放送されたのが、6月19日。
そして、ヴィヴィの誕生日とされているのが、6月19日。
最終話を見た方なら、
これが何を意味するのか考えると、鳥肌が立ちません?
こんな細かいところまで意図されていたとするなら、
この作品のあらゆる完璧さにも納得がいきます。
良い作品でした。
マツモトぬいぐるみが発売されるそうで、
購入しようか迷い中w