Howell さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
これを見るならSHIROBAKO等をおすすめする。
{1クール目}
[作品に関して]
この作品で一番強く思ったのは水物についてよく調べられてるなという印象
マニキュアをした状態で仕事をしようとした風花に対してくくるが怒ったり、ペンギンの生体管理について話していたり、6話で「大水槽の逆洗だっけ」や「スキマーの掃除お願い」と言ったり8話の病院内でのイベントではトロ舟の水量に合った薄型の投げ込み使ったりエーハイムのパイプ繋いで水足ししていたり 少なくとも軽く魚を飼ったり水族館が多少好きな人であればなんとなくわかる事は丁寧に描かれていて凄く良いと思った。
(更に8話から12話まで観ていくつかあるけど割愛)
[物語に関して]
{netabare}
序盤は衝動的な傷心旅行をする行き当たりばったりな風花の行動と周りの人との関わり方を観て「親の了解も取っていない子を受け入れるなんてあり得ないだろ」とか「自分勝手な子だな」とか思ってしまったけど前者は親と連絡とってたし後者は自分も10代の頃向こう見ずで行動したこともあったなと勝手に納得。
閉園危機の水族館存続の為に東奔西走するくくるや、がまがまにかけがえのない思い出を持つ人達、赤い長靴を買ったり生体について勉強したり今自分の出来る事を精一杯頑張る風花の様子を観ていると毎話グッと来る。
特に3話のくくるが妊婦の竹下先生に無理させてしまっておじいに注意される話が好き。がまがまを守りたいという強い想いから焦燥感に駆られ迷惑をかけてしまい反省するくくるの様子からかける熱量と幼さ残る感じが凄く伝わってくる。
物語自体が海の生き物を扱っていたり3話の竹下先生の出産や7話のおそらく戦争で亡くなったと思われる兄に会いたくて毎年来ているおじいさんなど命について描かれていて作品を通して命の尊さを感じさせる良い作品だなと思う。
空也さんとおじいの会話だったり書きたいことは沢山あるけど…
今までもそうだけど12話が圧倒的にリアリティがあって観てて何回か「えっ⁉」ってなった。振り返って思うけどこの作品をつまらないと感じる人の理由はこのリアリティにありそう。リアルな人間らしく感情は二転三転するしフォーカスが当たってる人間の行動が必ず結果に結びつくわけじゃない。こういう所が見てるとモヤっとするのかなと思う。良くも悪くもP.A.WORKSらしい。(追記)23話で風花がどうして一緒に居たいのかが描かれるのに見る前に百合と呼ぶ人は知らない。
{/netabare}
タイトルにある「アクアトープ」は造語で「水の場所」という意味らしい。
アクアリウムではなくわざわざこの言葉を選んだのか知れるのが楽しみだ。
あと、花澤さんと和氣さんの演技が良い。 2クール目に期待。
{2クール目}
1クールで切って良い。
[物語に関して]
{netabare}
全体的にご都合主義が多め。正直蛇足。
風花が戻ってくる事やがまがまメンバーがティンガーラに転職することはまだ良いけど風花のアイドル時代の後輩が来るのは流石に…と思った。
次に知夢達と仲良くなったりくくるが無断欠勤して傷心旅行をして立ち直るのが早いかなと思った。(尺の都合上仕方ないけれど汗)ホワイトすぎて羨ましい。
あとくくるが営業ということもありアクアリウム要素が減って微妙かなと感じる人は多そう。
自分は自身の体験も相まって好きな作品ではあるけれど人間模様を描くゆえに起こるテンポの悪さはあるので正直とりあえずで見た人は12話で切っていい。
正直書くことは1クール目より少ない…
良いところは少しギスギスした職場や上司・仕事が上手くいかない歯痒さなどP.A.WORKSらしい人間ドラマが描かれているところ。それと風花がアイドル時代やがまがまで体験した人前に出て話すうまさが終盤現れていて良いなと思った。
もう少しタイトルやキジムナーを突っ込んでやるかなと思ったけど全然そんな事なかった。
海外研修辺りは生き物について深く描くと思って 人々が生物多様性に取り組んだ先に見える砂浜 「白い砂のアクアトープ」とタイトルにしようと思ったけれど全く深掘りせずにあっさり終わってしまった…
1クール目はアクアリウム要素があったけど2クール目はただの職場の風景。
もっと水族館やアクアリウムや環境問題について調べれば深みが出たと思うしやらないなら1クールでやめればよかったのにと思う。
{/netabare}
↓↓↓↓↓少し真面目な話をします。もしよかったら読んでください。↓↓↓↓↓
私事ですが昔ペットショップのアクアで働いていました。元々は実家に犬がいたりベタを飼ったりする程度で特別生き物が好きということではなく、なんとなくで働き始めました。
しかしせっかく働くならお客様に気持ちよく飼って欲しいなと思い勉強していたらいつしか動物がより好きになり、本作でも取り上げられているような動物を飼育することや環境問題などに目を向けることが増えてゆきました。海洋汚染・外来種による生態系破壊・生体の乱獲・日本と国際捕鯨委員会(IWC)の差など…
より身近な所で言えばお家時間も増えペットを迎える方が増えてきたのは個人的には嬉しいのですが、一方で飼育放棄や劣悪な環境で管理しているペットショップが目立つようになってきて保護団体の方は殺処分の増加を危惧されています。
また犬のブリーダーさんも殺処分ゼロのためにと元栓を閉めれば万事解決と思い込んで圧力をかける一部の愛護団体の影響などで減少し、ペットショップが信頼できるルートから入荷するのが難しくなってきていると聞きます。犬の値段があがったり劣悪な環境で管理しているペットショップがあるのもこれが原因かと思います。
読みにくくなってしまい申し訳ないですが水族館について書こうと思います。
当時先輩の話では水族館は基本的に欠員が出たら足してゆくので倍率が高く狭き門で、水族館で働くことを夢見た専門学校生が花鳥園や動物園そしてペットショップで働くことは珍しくないらしいです。その上水族館で働きたい人は海水がメインなので諦めて他業種につくこともあるそうです。(震災などがきっかけで趣味のアクアリウムをやめる人も多く、その影響で個人店も減少しペットショップで海水を扱ってる店も減っている)そういった条件の中で働けている人なので情熱や覚悟というのはどなたも強いのではないかなと思います。
しかし現在コロナウイルスもまだまだ安心できない状況でその影響に伴い客足が減り閉館する水族館も少なくありません。
本作でも言われている通り水族館や動物園はただ生き物を知り触れ合うだけではなくその先に人と動物との関わり方を考える機会を与えてくれる場所だと思っています。なので私はこの作品・この文章を通して少しでも”生き物との暮らし”に目を向けてもらえたらなと思います。
2020年に行われたアートアクアリウムもカミハタなどが関わっていたにも関わらず酷い有様でした。(利益になればそれでいいと思っているのでしょう。)こういったことが生き物に興味を持ってくれる人が増えれば減ると信じています。
何か自分ができることも特別ないのでこの作品の力を借りて書かせていただきました。
最後に
コロナ渦で水族館や動物園など厳しい中SNSやグッズなど非常に努力されいて、積極的にYoutubeに動画をあげているところも増えてきました。楽しい動画がたくさん上がっています!ぜひ見てもらえたらなと思います!!