かがみ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
この広げまくった大風呂敷をどう畳むのか
前作「ひぐらしのなく頃」は美少女ゲームを駆動させるメタ物語的な欲望を「世界を作り直す欲望」へと純化させる事でゼロ年代における政治と文学の再統合を志向した。
そして前作の正統続編となる本作もまた前作同様に「世界を作り直す欲望」によって駆動する。もっとも、前作における「世界を作り直す欲望」は様々な「セカイ」が乱立する「バトルロワイヤル」に終止符を打つ「つながり」へと希望を託すというゼロ年代的な想像力の変遷にある意味で正しく依拠していた。
これに対して本作における「世界を作り直す欲望」は「つながり」のもたらす「動員と分断」の病理が顕在化した2010年代を経由した想像力に突き動かされている。本作は「つながり」の欺瞞を告発し、絶対的な「セカイ」へ立て篭る現代的な「悪」の病理を高純度で抽出しているといえる。
一度は脱出したはずの「昭和58年6月」に再び呑み込まれる梨花。後半から物語は想像の斜め上をいく超絶展開へ突入する。旧ひぐらしとは違う意味で怖い。果たしてこの広げまくった大風呂敷をどう畳むのか。続編「卒」の展開が気になって仕方がない。