HmFDB75691 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シンプルでとても奥深いストーリー
録画したものをようやく見た。作画がすばらしいのは今更なので省略。雨が地面に落ちて水が跳ねる描写がとくによかった。ストーリーはとてもシンプルだけど奥深い。その点を述べてみたい。
{netabare}
雲の上の陽菜を帆高が連れ戻すシーン。帆高があっさりと雲の上に行くのは、ご都合主義的に見えるが、ここに深い意味がある。
哲学的な話になるが、相手の物の見方や考え方を理解し、自分のなかに取り込むと、その人が見ている世界が見えるようになる。例えば、妖精が見えると言う人を理解すれば、同じように妖精が見える(かわいそうな人だから理解してあげようではない)。
一回しか見てないので間違っているかもしれないが、陽菜の体の異変を見たのは帆高だけだった気がする。陽菜を理解している帆高にはその異変が見える。
病院に連れて行って医者に見せたら「どこも異常はありませんよ」と言われるはず。そういう現実的なシーンは意図的に描かないようにしている気もする。
陽菜がホテルから消えて、雲の上に行ってしまうのも、もし、刑事が尾行したら、陽菜がホテルを出て鳥居に向かったのを見たはず。
重要だと思うのは、『子供だから見えるのではなく、大人も理解すれば見える』ということ。
鳥居に向かおうとする帆高を、最後の最後で須賀が協力する。帆高を理解したから、須賀も消えた帆高を見ることができた。おそらく、刑事の眼には帆高は消えてはいない。ファンタジーとは真逆な、刑事というとても現実的な存在も興味深い。刑事の視点からこの作品を描いたら、おかしなことを言う子供たちが、鳥居のそばで気絶しているだけの話になる。
陽菜の物の見方や考え方を理解した帆高だけが、陽菜の世界に行くことができた。夏美が余計なことを吹き込まなければ、陽菜が雲の上に行くこともなかった気がするが。
陽菜と帆高が見た雲の世界も、大人たちがそんなものはないと言う世界のどちらも現実。この作品はファンタジーに見えるけど、リアルという解釈もできると思う。
{/netabare}