nyaro さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
OPはクリムトつまりファムファタルです。結論は…ということでしょう。
OPの背景画はモロにクリムトでした。クリムトが描いた主題はファムファタルですから、クリムト=性と死、ファムファタル=運命および男に破滅をもたらす女ということで、本作はバッドエンドであることを示しています。
ストーリーは、主人公の過去とその記憶、ルーシー=ミウと深く関係する話。クラマという研究員の過去の奥さんと娘=35号の話、クラマとナナの話、マユの虐待と家出、あの狂った軍人がルーシ―を追う話、狂った研究員がルーシ―を逃がす話が組み合わさっています。いとことの恋愛的な要素もありますが、このいとこの女の子は舞台を回しはしますが、結局は脇役です。
話は非常に面白いです。以上のような物語が組み合わさって、構成もしっかりしたいい話でした。
若干、主人公とイトコの女の子の心情が狂言回しをするために不自然なところもありましたが、キャラはそれぞれ描けていました。
それと親をも殺すディクロニウスなのに35号を解放するときに母性をあてにしちゃ駄目だろうという気もしました(あと、そのまんまAKIRAオマージュでした)。
あと、ガス、生物兵器、爆弾をなぜ使わない?重い弾がきくなら初めから対戦車ライフルとかで良くね?とは思いました。
で、結論についての考察です。
{netabare} 最後の部分でルーシーは主人公に「5年でディクロニウスの世界にできる」「キミは束の間の幻」「側にいたかった」といいます。それに主人公が「いくな、君が人を傷つけたら後悔する」といいます。ですが、結局ルーシーは戦い生き延びます(玄関のシルエット)。
団欒の場にふさわしくない暗いオルゴールのBGM。主人公がルーシ―に送ったものでした。そのオルゴールの音楽が停まります。主人公との関係が切れるという意味でしょう。犬が騒ぎ=ルーシー、時計が回りだす=5年というセリフと連動して人類の滅亡が始まる象徴。
で、OPのクリムトの絵です。つまり、クリムト=性=繁殖および死=人類の終わり、ファムファタル=破滅をもたらす女です。つまり、この段階でルーシーは世界をディクロニウスにする選択をしているということだと、解釈しました。{/netabare}
表現についてです。グロはディクロニウスという存在の恐ろしさを表現するのに必要な部分だったと思います。ただ、だったら義手義足でカバーしないで、ちゃんと欠損の悲惨さを表現した方が良かったかもしれません。それに人間のエロス、タナトスまたは繁殖が大事な部分ですので演出として血と女性の裸体は必要だともいえます。
一方で、メタ的に見て少々過剰過ぎる表現、特に未成年女性の裸体に消費者=視聴者に対する媚という匂いを感じました。まあ、昔のアニメ、コミックは多かれ少なかれそういうところがありましたので、スルーでいいと思いますが。ただ、エロとグロの水準は見る人を選ぶでしょう。
絵の古さ、特に初期萌え絵の目の大きさが気にはなりますが、すぐに慣れるレベルです。
13話でしっかり話をまとめて、かつ、最後も余韻が残る終わり方だったのは良かったと思います。本作は冒頭にも書きましたが特にOPの映像と曲が印象に残るアニメでした。