nyaro さんの感想・評価
4.1
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
佐為VS塔矢行洋は素晴らしかったです。佐為が消えてからは…。
ヒカルの碁でいつも思うのですが、佐為は本当にいたのかですよね。物理的な痕跡もなければ、他の人には見えないし会話をしたこともありません。仄めかしでもいいので佐為の存在が確定するような証拠がないか、チェックしたことがありますが、多分どこにもなかったと思います。実は佐為は幻覚でヒカルの中にいた碁の才能が狂気とともに目覚めた…考えすぎですね。
さて、物語は囲碁棋士としてのヒカルの成長ストーリーで、スポコンメソッドの物語です。学校レベルの強い弱いから棋院という別世界へのストーリーの転換が非常にうまくて、ヒカルと囲碁部員のみんなの葛藤と解決が非常にいい話でした。あかりちゃんはもっと活躍してほしかったですが、あの娘の囲碁に対する打ち込み方は感動しました。ほのかなヒカルへの好意も可愛かったです。
プロ試験のところ。勝負の世界の厳しさ、囲碁のプロになるハードルの高さを上手く描けていたと思います。仕事との両立や年齢との闘いもありました。精神的な駆け引きも分かりやすく表現されていましたし、大人に負けたことを乗り切るための武者修行も面白かったです。
本作は対象年齢が小中くらいだと思います(もちろん大人が見ても面白いですが)。子供向けというにはあまりにリアルな描写に驚きました。
ストーリー全体で、塔矢親子の存在がヒカルのモチベーションにもなったし、佐為と塔矢行洋のネット語対決という名場面がありました。囲碁が分からなくても、世界中やプロがネットにくぎ付けになることで非常にレベルが高い水準で緊迫した戦いをしている、という様子が伝わってきます。
ネット碁で幽霊とプロが戦うというストーリーも着想が素晴らしいし、佐為の初めのころからの願望そして神の一手。いろんな意味が込められたこの一戦は、マンガ・アニメ史上いろんな戦いがありますが、ベストバウト候補に入れてもよいのではないでしょうか。
ただしです。この後は急速にどうでも良くなります。TVアニメでは描かれない復帰後しばらくしての北斗杯はまあまあ面白かったですが、それでも数段、佐為が消える前と比べると面白くないです。本作は75話ありますが、60話までで良かったと思います。