nyaro さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
特異な面白さ。類例がありません。が、歪みも感じます。
隣人部ですね。ラノベの世界ではSOS団や奉仕部。変わったところでは階段部というのもありました。部活ものは登場人物をチョイスしてクローズドにできるので非常に作品が作りやすかったのでしょう。今も続くメソッドです。
1期は非常に面白かったと思います。しかも、設定の面白さではなく、ギャグの面白さが他のラノベ、アニメとは異質でこんなに新鮮なアニメは他にないでしょう。
本作については1期では説明がありませせんが、恋愛を持ち込まないという主人公の気持ちは明示されます。女子が多いグループには所属したいけど、恋愛はヤダというニーズ。日常系と異世界ものに分岐する過渡期といえるでしょう。
非常にギャグに寄っていて面白いです。「エア友達」とか「肉」とか夜空のセナへの言動がキレキレでした。ヒロイン2人が露骨に敵対していて、リア充のはずのセナが夜空にやり込められる構図が面白いです。とにかく、それぞれの女性キャラが非常に美しい造形をしているのに、欲望を隠そうとしないで下品で最低なセリフを言うのが、本作の最大の特徴になっていました。
また、セナやロリの先生がかなり残念な扱いを受けるというサディスティックな面白さもありました。セナが「黒光りしている聖剣」とか言わされるのは最高でした。恋愛ゲームも相当面白かったです。「せもぽぬめ」今でも覚えています。
ただ、友達が欲しいという願いが、非常に滑稽ではありますが切実でした。ここが痛すぎて時折見ていて何か哀愁というか悲しみというか、必ずしも面白がってばっかりではいられませんでした。
夜空の部活を作った本当の意味は伏線としてはいいのですが、夜空のあまりにも歪んだ性格や主人公が恋愛を絶対否定する態度は、どこか精神の歪みを感じます。そして、永遠の日常を求め、新しい関係の構築を否定する心の弱さが見て取れます。
シリーズ全体の話です。非常に面白い話なのですが、日常系への過渡期で時代的にストーリーを真面目に作ろうとしたのでしょう。今の日常系のように終わらない物語でも全然通じる面白さがあったのに、ちゃんとストーリーを進めてしまいました。そのせいで、終盤になるにつれて、原作者がやりたい事と設定が捩じれてきた気がします。だから、最後は大炎上になったのかもしれません。
または、もともと少し原作者の精神がどこか不安定だったからこそ、こういう特異な物語が出来たのかもしれません。夜空の言動には少し破滅衝動のような狂気も感じます。
なお、OPの音楽と映像センスは最高でした。これも類例がないセンスでした。ギターの入りが気持ちいい曲です。