STONE さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ドラマ界からの進出の結果は
実写ドラマで有名な野島 伸司氏の脚本によるオリジナル作品。
昔からそんなにドラマを観るわけではなかったんだけど、それでも野島作品はそれなりに
視聴しており、本作を観るに「ああ、らしいな」という感じ。
アニメということでドラマに較べてSF、ファンタジー的色合いが強いものになっているが、
キャラの環境や状況などは相変わらずドロドロしたえげつないものが多く、むしろ映像的
グロさも加わって、ドラマよりひどいような。
そもそも野島氏が何故アニメ脚本をやるようになったかは知らないけど、ドラマが以前に
較べてきわどいものがやりにくくなってきている今、ドラマよりやりたいことができそうな
アニメに参入してきたのかな。
単にえげつないだけでなくやけに生々しい感もあったが、この辺は現実の様々な部分に対する
問題定義要素もあるのかと。
それでもあまり陰惨な印象がなかったのは、作画がきれいだったり、中心となる4人の少女が
魅力的だったり、その4人の他愛ないやり取りが楽しかったりしたからかな。
4人の会話などはやはりドラマ畑の脚本家によるペンのためか、通常のアニメのそれとは
異なる感じであるのが新鮮。
エッグ世界での戦いにおける4人それぞれの決め台詞なんかは敢えて垢抜けない感じに
しているようで、ある意味新鮮。
エッグ世界の描写は登場キャラの心情や環境を映像化したメタファー要素を含んだもので、
なかなか魅力的だった。
終盤になると作品世界の真相が明らかになるが、ふわふわしたファンタジー的なものではなく、
思いの外SF的なガチガチしたもの。
個人的には全て説明を加えるより、幾原 邦彦監督作品のように作品世界でのリアル映像と、
心象表現を映像化したものとが曖昧になっている方が映像的な内容に相応しいように思えたけど。
4人の出会いがそれぞれの状況を良くしているようで、「この4人の友情がそれぞれの
救いにもなっていけばいいのに」と思ったりもしたが、やはり根本的な解決にはなっていない
ようで、エッグ世界での戦いは継続。
元々、少女達の状況においては容赦ないストーリーだったが、後半になると4人の状況は更に
ひどいものに。
その一方、主人公の大戸 アイのやるべきことが見えてきたため、
「最終的にどうなのるか?」と思っていたら、中途半端な状態で終わり、
「最終章になるのか?」と思った「特別編」はこれまた締めには値しない内容。
結末を曖昧な描写で終わらせて、その判断を受け手に任せるような作品自体は個人的には
そう嫌いではなかったりするけど、本作に関してはそういった類とは別で、やはり結末
そのものの描写を放棄したような印象でいただけない。
いわゆるアニメ脚本家ではない野島氏作品ということで、今までにないものを期待していた
部分はあり、実際のところの途中までは内容、キャラ、演出、作画のいずれも好感度が
高かっただけに、この終わりは余計に残念感が募る。
2021/08/18
2023/07/02 加筆・修正