ハウトゥーバトル さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
No alone! No strange! Yes odd?
この話はとあるタクシー運転手の話
ジャンルはサスペンス
まず言います。本作は見るべきです。
限定的なジャンルでもなく馴染みやすい動物のキャラが動くため、誰にでも入りやすい作品となっています
イメージとしてはズートピアみたいな感じです。あんな感じのキャラが3DCGではなく、手書きアニメとして動いている、というイメージで構いません。
主人公はタクシー運転手です。というと「タクシー運転手として色々な人を乗せて、色々な人の悩みを聞いてあげる」みたいな人情温まるストーリーだと勘違いされやすいですが、正直本作はぬるくありません。かなりとがっています
ですので、ほんわかとした動物同士のゆるい日常が見たい方別作品に行ってください
さて本作の感想としては「サスペンスとして完成された作品」です。かなり誉めています。一話は普通なのですが、二話目以降は人間関係が複雑に絡んでき、終盤でかなり大番狂わせがある、という。
ラストシーンに関しては賞賛しかありません。あのラスト以上に面白くできる自信はありませんし、引き方としては史上最高と言っても構わない出来でした。
かなり暗めの話で、割とエグい話なのでサスペンス、と一言で完結させていいのか疑問ではありますが、サスペンスとくくるなら、やはり完成された作品と評価せざるを得ません。
{netabare}いや本当に本作はすごいと思います。
結構序盤で「あれ?これ実は人間説ない?」と思っていましたが、この時点では「視聴者だけが動物に見えている」みたいな挑戦的な作品だと思ってましたし、主人公の言い方から察するにそれはないだろう、と思っていたら。
中盤で確信しました。非常に伏線が上手い。疑ってかからないと絶対に見逃してしまうような些細な言い回し。最高すぎる。
この(擬人化ならぬ)擬動物化は作品を面白く変えるだけではなく、我々視聴者に大きな影響を与えました。少なくとも私は本作を視聴し終わったあと、はっとさせられました。
もちろん人それぞれに意見があると思うので私の意見がすべてではないのですが、「擬動物化(正確に言うなら非人間下)による低下」が顕著にみられました。
低下の内容は、深刻性ないしは残虐性、関係性や現実性。
思い返してみればわかると思いますが、あれを最初から人間の姿で描いていたならかなりやばい話です。それをわざと人間ではない物に置き換えることで、身近だという感覚を麻痺させ、あたかも動物同士のいざこざ程度にしか見えなくさせるのです。キャラが死にそうになっても「へぇ死ぬんだ~」程度にしか思えなかった自分の思考自体が恐怖となってきます。少なくとも私は恐怖に近い感情を覚えました。
人間じゃなければそれを自分のものとせず客観的にとらえる。これは同じ人間で合っても当てはまるものだと私は考えています。
特段深く突っ込むつもりもないのでここら辺にしときますが、気になる方は認識学とかに足を突っ込むと良いですよ。
というか完全にホラーですよね。これ。
ラストシーンなんてマジでただのホラーでしたし。先ほど言った通り、自分に対する恐怖(?)も感じましたし。
本当にサスペンス(緊張などの不安定な心理を描いた作品)としては最高だと思います
{/netabare}
ただ、純粋に話が面白かったか、というと微妙でした。
作品として面白かったというのは間違いないのですが、物語として面白かったかと問われると困ってしまいます。
正直物語だけでみるなら火サスとかでいいんじゃないでしょうか。火サスを見たことがないので知りませんが。
タイトルも素晴らしいですね。aloneでもstrangeでもなくoddを使うあたりセンスがうかがえます。まぁoddの中に「独り」も「異常」も含まれてませんけどね。