退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
女性画家がホントに珍しかった時代のお話。
私事ですが、
こう見えても(←どうも見えてはいないw)、
美術館巡りという似つかわしくない趣味があり、
西洋絵画は結構好きです。
なのでこれ、原作漫画もめちゃくちゃ好きで、
アニメの視聴を心待ちにしておりました。
{netabare}
16世紀初頭、ルネサンス期。
「女だから」、「女のくせに」が、
当たり前だった時代。
画家を目指し貴族の家を出たアルテは、
持ち前の負けん気の強さや、
ひたむきに努力する姿で、
周りの見る目を変えていく。
ありきたりな設定のようにも思えるが、
いっそ清々しくも感じます。
↓以下、殆ど脱線。
アルテのような女性がいたのかどうかは分かりませんが、
ルネサンス期の女性画家はホントに数えるほどしかおらず、
作品の通り、当時の画家という職業は男の世界だったのだ。
理由は主に2つ。
ひとつは、
当時、画家を目指すには、
工房に弟子入りするのが一般的なのだが、
まあこれが重労働なわけです。
当時の芸術家は、画業だけではなく、
彫刻や建築も生業とする、
いわゆる男社会の職業であったわけで、
1話目に出てきたテンペラ画の下地作りや、
壁や天井のフレスコ画の足場作り、
漆喰塗りや絵の具作り一つとっても、
まさに大工仕事のようなもので、
とても女性がこなせるような仕事ではなかったのだ。
これは性差別ではなく、
現代にも通じる職業の特性でしょう。
もう一つは、
当時の絵画は、宗教画・歴史画が主流であり、
大半の女性は、それを描くような知識や教養が無かったのだ。
作中で、ダーチャがアルテに読み書きを教わるシーンが出てきたが、
当時の一般人の教養はその程度だったわけです。
貴族出身のアルテは、
既に知識や教養が身についていたため、
レオはアルテを「女だから」どうこうではなく、
描いた絵を見て、アルテの素養を見抜いたのでしょう。
また、アルテは作中で、
ヴェロニカやファリエル家から肖像画の依頼を受けているが、
肖像画は宗教画の次に階級が高いとされた絵画であり、
徒弟の段階でその依頼を受け、
それに応えられる絵を描けるアルテは、
画家として既にある程度成功しているとも言えるのだ。
しかしアルテは、ファリエル家のユーリから、
ヴェネチアに残らないかという提案を断っている。
名門貴族お抱えの画家ともなれば、
将来の安泰が約束されたようなもので、
個人的には、あーもったいな。。。と思ってしまうのだがw
まあ、受け入れれば物語はそこで終わっちゃうけど。。。
ちなみに、
原作はまだ続いてますが、
アニメは最終話にオリジナルを入れて、
ムリヤリ完結させている。
ちょっとケチをつけるとしたら、
最終話。
天井画を一人で仕上げようとするなんてあり得ません。。。
結果的には徒弟仲間たちが手伝いに来てくれたけど、
天井画って幾人もの職人で作り上げるものなので、
突然雑なオリジナル入れてきた!
と思ってしまいました。。。
結構原作を駆け足で12話にまとめたような印象でしたが、
個人的にはダーチャとの出会いのエピソードもアニメで観たかった。
このエピソードも良いお話なんですけどね。
{/netabare}