どれっど さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
想いを魅せる現代のスポ根
ゲームを始めてから視聴をしました。
色んなゲームのメディアミックスを見てきましたが、これほどにゲームを超える作品は初めて出会いました。
競馬はほぼ触れたことがなく、ゲームはダビスタをただの育成レースゲームとしてプレイしたことがある程度。
ウマ娘はジャンルで言えばスポ根アニメだと思っています。
私の中でスポ根アニメの多くがチーム競技であり、仲間との絆、連携プレーの技術力を魅せるシーンとして出しているものが多いです。
個の強さを魅せる作品もありましたがそれもまた圧倒的な技術やパワーを魅せるシーンとして描かれているものが多かったです。
ただ、ウマ娘は違った。
技術を魅せるものではなかった。
圧倒的な力を魅せるものでもなかった。
ウマ娘は強烈なまでの走りにかける想いを魅せるそんなアニメです。
しかも、それはチームとしての想いではなく個としての想いです。
ウマ娘のレースは、競技としてはただ走って1番速い人が優勝。
非常にシンプルです。
圧倒的なパワー、圧倒的な技術、チームプレーで魅せずとも人を魅せられることができるというこの作品の凄さに脱帽しました。
それは恐らく、実際に存在していたレースをもととしており実際に存在していた名馬をもととしているからだと思っています。
全てを描かずとも背景が存在するというのはfateシリーズと同じようにキャラの深さを最初から持っているというアドバンテージがあります。
それを生かして、ウマ娘たちにそれぞれレースにかける想いを持たせている。その想い同士がぶつかり合うとこれほどまでに熱くなるというのが驚きでもあり、また私個人としては他のスポーツ作品以上に感動を与えてくれました。
いや、これ感動なんてありきたりの言葉では表現では足らない。
だっておかしいでしょ、スポーツアニメなのに目玉のレースシーンは5分10分で終わっちゃうんですよ。普通のスポーツアニメなら1話どころか3話、5話、ものによっては10話だって使うんです。それを5分のレースシーンを魅せるシーンとしている。
しかし、それが強烈に印象に残る。それにかける想いを1話2話とかけているんですから。視聴している自分だって緊張のボルテージが上がってしまうのです。
アニメのオープニングを見ながら前回の物語から想定される今日の話のシナリオを思い浮かべて涙が出そうになるなんて、しかもそれが毎話そんな状態になるなんて今まで経験したことがないんです。
想いは人を感動させることができる。
言葉にするとありきたりですが、この作品を見て初めてその強さを実感しました。
後で競馬の深さを知り、ドラマを知った今競馬を題材するなんてズルいと思いました。
描かずともドラマが既に存在しているなんて、深みが存在するなんてそんなアドバンテージだらけの題材を使うなんてズルい!そのドラマを持った競走馬を擬人化することでifである想いを語り、史実にはない競走馬同士が会話し、想いがぶつかり合うなんてずるい!
しかし、ならば、何故この作品が出るまで誰も題材としなかったのか!
その着眼点、素材の良さを最高の料理に仕上げたCygames、アニメ制作会社は見事としか言いようがありません。
もし、興味本位でこの稚拙な文章をみてくださる方で更にウマ娘を視聴したことのない方がいれば是非見て欲しい。今まで感じたことのない感動を体験できるはずです。