退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
原案/脚本/監督 - 手塚治虫
手塚神による24時間TV用アニメ。1986年作。アニメとしては遺作でいいのかな。
あ、特に名作とかそういうんじゃないですよ。
これまで健全な冒険活劇だった24時間TVアニメを期待してワクテカした当時の子供たちはトラウマ必死。人や怪物がそれはもうバンバン死にます。現在の鬼滅やアビスが平気な子供達が観ればそうでもないでしょうが。
存命中最後のアニメ作品らしい。いわゆるSF映画の集大成的作品とも言える、ぼくのかんがえたさいきょう系であらゆる要素をブチ込んだ構成。馴染みがない方には「へーこんな時代にもう既にこれやってたんだ」という驚きはあるのかもしれません。とは言うても銀河を股にかけ世界の存亡を賭けた壮大なスペースオペラなどではなく、ウイルスに冒された大事な人を救うために孤軍奮闘する主人公スバルの話。しかも救う対象のミラは恋人でもなく先輩の嫁さん。
コールドスリープされたミラを残し解決策を探す旅に出るスバル。3つの惑星でのオムニバスのような構成でそれぞれ演出も違う。冒頭はシリアスな雰囲気で進むが、途中でいきなり手塚ワールド全開なコメディ要素が出てくるのでちょっと戸惑うかも。あのノリが苦手な方もいるでしょう。手塚キャラが出てきたりとサービス要素もあり。
メインテーマとなるモーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」第2楽が落ち着いた物悲しい雰囲気を醸し出しつつも、ラストはしっかりとハッピーエンドなので安心して観れます。24時間TVでバッドエンドは流石にありえないでしょうが(笑)
流石にただ古臭いだけ、という印象が一般的な評価でしょう。SF好きが観ると「ああ、なんかこれっぽい話は何かで観たことあるなあ、なんだっけかなあ」みたいな感傷に浸る事が出来ます。どっかで観たことある要素しかありません。手塚版グレンラガンと言った感じでしょうか。「ほらほらこういうの面白いだろ?好きだろ?こっちこいよ!」みたいな。ただなんでもかんでも殺しすぎ。時代を考えるとSFとしては普通でも子供に見せるにはちょっと早すぎたのかも。
今の親切アニメを見慣れてると「設定の羅列ばかりで心理描写がないので感情移入できない」ってなるでしょうか。現代の視点で観るとキャラの魅力ってのもないでしょう。「で、結局何が言いたいの?」みたいな感想になるでしょうか。自己投影できないと駄作、自分にわかるようでないと駄作ってな風潮は昔からありますよね(アニメに限った話ではありませんが)。それのカウンターがエヴァだったはずなんですが。「ただのロボットアニメにムキになってどうすんの?お前らが期待するものなんかなんにもねえよ。残念でしたー。」みたいな。ただ面白いだけの作品ってダメなんでしょうかね。いやまあこれがそこまで面白いかってのはまた別なんですが。
ラストシーンはきちんとこうなって欲しいってな締め方で良かったです。