nyaro さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
領地開拓が面白そうなのに、開拓の前に終わってしまいました。
なぜ異世界で領地開拓の作品が量産されるか。たぶん、マインクラフトとかシムシティなんでしょう。何もない大自然の中に自分の理想の国、街、そして住居を作りたい。
そこには、気の合う仲間や優秀な部下がいる。美しい婚約者、奥様がいる。金銭にも不自由せず、なにより自分に力がある。冒険や戦争で大活躍する力がある。そして領地は文明化されおいしい物が作られ、領民が満足する。
そういう話のニーズに本作の世界観の設定はマッチしています。貴族=金持ちではなく貧乏貴族がいて、礼儀作法や慣例がある。広大な未開地がある。国王から認められた地位もあるし力もある。
突出した魔法の才能がある、学校に入って仲間ができる。活躍して親よりもえらくなり経済的に豊かになる。婚約者ができる。冒険して活躍しながら領地経営に乗り出す。
つまり、これは高校生大学生ではなく疲れた社会人のニーズにあっているのではないでしょうか。本作のストーリーなら、転生からスタートする必要はない訳です。魔法の才能がある少年が領地開拓に目覚める、でいい訳です。転生の要素を入れるのは、つまり逃避願望が色濃く反映しているのでしょう。異世界転生は疲れた人々の夢だということでしょう。
さて、評価できるポイントが2つありました。魔法の師匠、語り死人の物語です。この人に関わるストーリーはなかなか感動的です。そして、兄との確執と奥さんの人柄です。かなりご都合主義なストーリーの中でかなり面白い場面でした。
この2つのエピソードからいって、そんなにつまらない話ではないと思うのですが、仲間がいる必然性とその仲間にまつわるエピソードが陳腐でした。そのおかげで中盤が面白くないです。
原作は未読なのですが、ひょっとしたらこのアニメの先が面白いのではないでしょうか。特に対立する兄の奥さんアマーリエさんが妙に美人でキャラが出来ていました。この奥さんってひょっとしたらもっと活躍する?わかりませんが。
ニーズは領地開拓だと思うのですが、肝心の開拓が進展する前の部分で終わってますので、そこに到達していないのは非常にもったいなかったと思います。戦争や冒険がちゃんとしてたかといえばそうでもないでなおさらです。
例によって1クール尻切れトンボでした。領土開発の物語の舞台設定や人間関係はなかなか良さそうなのでポテンシャルはあると思いますが、残念ながらアニメの出来は異世界ものの中でも中の上というとほめ過ぎかなあくらいでしょう。