け~・える・い~ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
北風と太陽
旧作はすごく面白かったのに、本作は今のところそんなにといった感じ。
なんでだろうと考えてみた。
{netabare}
まず、第一に本作では現時点で謎解きの部分が存在していないということ。
旧シリーズにおいて1期は、一部を除き謎のほとんどの部分が謎のまま終了する。そして2期の「解」でようやく事件の全体像が明らかになり、黒幕の正体も判明する。その間、視聴者は謎を色々考察することができる。
それに対して新シリーズでは、沙都子がループの原因だということが「業」の中盤ですでにわかってしまっている。各編についても沙都子が裏で糸を引いているということでそれぞれ一応完結していて謎らしいものは見当たらないように見える。
謎という視聴者の興味引くものもないまま悲惨な事件を見せられるのはただただ辛いだけ。
つぎに黒幕の動機と手段。
旧シリーズの鷹野の動機は、自分を悲惨な環境から救ってくれた恩人である高野一二三の無念を晴らすこと。そして手段として雛見沢症候群が関係するのは必然。鷹野を単純に悪と断じることはできず、その執念にも納得がいく。
新シリーズの沙都子の動機は、梨花と仲良くやっていきたいというだけ。動機としては軽い。そしてその手段としておやしろ様の祟りを用いるのはバランスが悪い。正直二人でよく話し合えば解決できるレベルの問題だと思う。そもそも、梨花も沙都子を同じ学校に誘っておいて、入学後はほったらかしというのもおかしい。この辺の説得力のなさが旧シリーズほどの魅力がない原因だと思う。
旧シリーズは、理不尽な死、なかなか解明されない謎、鷹野の生い立ちなど数々のストレスを視聴者に与えて、それが最後に解決されるというカタルシスがあるから傑作になったと思う。
最近はあまりストレスを与える展開が続くと視聴を継続してもらえないということで、そういうのはさけられているらしい。でもそれだと暇つぶしには適した作品はできるけど、名作は生まれないと思う。やっぱり試練があってこそ、そこから解放された時の感動も生まれるのではないでしょうか。
本作がこのまま凡作で終わってしまうのか、こちらの予想を覆す仕掛けが用意されているのか。ひぐらしがこのまま終わるとは思いたくないところ。
最後にレビュータイトルについて。沙都子のやってることっていわゆる北風だなぁっと。梨花を雛見沢村にとどめておきたいなら、悲劇を繰り返し心を折る北風作戦より、いい思い出を作って上書きする太陽作戦のほうがいいんじゃないかと思ったというそんだけ。
{/netabare}