「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト(アニメ映画)」

総合得点
74.7
感想・評価
68
棚に入れた
235
ランキング
877
★★★★★ 4.1 (68)
物語
3.7
作画
4.4
声優
3.9
音楽
4.3
キャラ
4.1

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ネタバレ

なばてあ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

予定調和の底が抜ける熱と溶鉱炉の底を打つ光

原作舞台とテレビ版は視聴済み。

基本的にはテレビ版の評価に準じる。意外に思われるかもしれないけれど、わたしは、この劇場版よりもテレビ版のほうが評価は上である。むしろ初見時は、劇場版に対する印象は「蛇足も蛇足、まったく余計な付け足し」とさえ思っていた。けれどもなぜだか気になって、もう一度劇場で見たときに、評価がかなり好転した。

好転したポイントはおもに「物語」。当初はテレビ版にあった「仕掛けの妙」、言い換えるならメタ的構造が完全にキャンセルされてしまい、ただのベタなスポ根で、ただのフラットな成長物語になってしまったことにガッカリしたのだった。「卒業」という主題はこれまで数多のアニメで「再演」されてきた。その「再演」のされかたをそのままトレースしたというか。身近なところでいうと『{netabare}映画「けいおん!」{/netabare}』を思い出したというか。

二回目に鑑賞した際には、そのありきたりな「卒業」の陳腐さが、そこまで鼻につかなかった。それはおもに{netabare}ひかり{/netabare}と{netabare}華恋{/netabare}の感情が、それなりの細やかさで描かれていて、その解像度がかろうじて物語を救えていたからだと思う。とりわけ{netabare}ひかりとまひる{/netabare}のレヴューと、ラストに{netabare}華恋{/netabare}が一度死ぬくだりは、なかなか良かった。

一回目から最大級に評価していたのは演出と作画。テレビ版から揺るぎない魅力として作品を貫いていたこのふたつの要素は、劇場版でまちがいなくパワーアップしている。人口に膾炙する{netabare}皆殺しのレヴュー{/netabare}は、アニメ史に残る名シーンになった。最上級の演出と最高級の作画が合わさって、スクリーンからほとばしる魅力がとどまるところを知らない。さすが{netabare}大場なな{/netabare}である。

それ以外もレヴューシーンはどれも破格の出来である。テレビ版とくらべるとやや{netabare}幾原的美学{/netabare}が後退している気もしなくもなく、そこもわたしがテレビ版を上に取る理由なのだけれど、でも、総じて、この劇場版はけっして「蛇足」の二文字で貶めていいものではないのはたしか。念のためにもう一度劇場に足を運んで本当に良かった。

余談だけれど、同時期の劇場アニメはほんとうにクオリティが高く、奇跡じみたレベルだった。『シン・エヴァ』、『ポンポさん』、『スタァライト』、『ハサウェイ』、『キャメロット』、『ソロモン』などなどで、そのどれもが佳作以上の仕上がりだった。・・・そのなかでもわたしのなかで圧倒的にずば抜けていたのは『{netabare}閃光のハサウェイ{/netabare}』で、次点がこの作品と『{netabare}ポンポさん{/netabare}』だった。この三作はすべて方向性がちがうものの、どれもがアニメの魅力を骨太に打ち出していて、興味深い。つまり、この三つを同時期に見る意義は大きいということである。

その一翼を担う、本作は立派な作品だなあとあらためて思う。そのシュルレアリスム的な演出と、どこまでもすばらしいキャラ&レヴュー衣装デザインに、あらためて拍手を、終わることのないカーテンコールを送りたい。

衝撃:★★★☆
独創:★★★☆
洗練:★★☆
機微:★★☆
余韻:★★★★☆

投稿 : 2021/08/09
閲覧 : 232
サンキュー:

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