nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
注目すべき本筋を間違えないようにしましょう。
類例を見ない展開と切ない恋愛の物語を見事に融合させた、本当に面白いストーリーでした。主要キャラも魅力的ですし、アニメの出来もかなりの水準でした。なお、ファンタジーではなくはっきりとSFです。でも、そこを気にする必要はありません。
テンプレ設定で単純なエピソードを繰り返すような今のアニメに慣れていると展開について行けなくなります。
島に閉じ込められた葉風がどうやって助かるのか。愛花は誰に殺されたのか。絶縁の樹とはじまりの樹とは何か。という3つのストーリーが有機的に絡み合い物語は展開し、最終的にすべて答えが提示されます。
一番大きな要素であると思われていた絶園とはじまりの樹の話は、実は舞台設定でしかありません。ここに注目しすぎると肩透かしがあるかもしれません。
裏のヒロイン愛花がなぜ死ななければならなかったのか、という部分が一番重要なストーリーとなり、もっと言えば、愛花の心情を知る物語ともいえます。葉風の島からの復帰も面白いし重要な要素ですが、本筋なストーリーではなく、愛花の物語の解決の伏線となってゆきます。
{netabare} 少し非人間的なほど冷静でクールな愛花のふるまいがあるからこそ、その奥底にある深い想いに心を打たれます。達観というのでしょうか。短い期間の幸せに感謝しながら、自ら死を選びます。最終回の彼女が残した動画の内容は、喪失感で本気で胸が痛くなりました。ただ、ラストのシーンが良かったです。吉野は恐らく愛花の死を受け入れ消化して、葉風を受け入れるのでしょう。
葉風の幼い恋心がほのぼのしていて微笑ましいです。しかも、この恋心も謎の要素として展開してゆくのが、本当にうまかったですね。
タイムリープなら愛花を生きていることにしたいところですが、そこは悲しいですが、良い結末にしたと思います。タイムパラドックス問題も上手に扱ってました。
{/netabare}
絶園という単語は聞いた事がないのですが、テンペストは島に閉じ込められる話ですから、吉野、真広が魔法により混乱しお互い戦う話かと思うと、そうでもなかったですね。途中そんな雰囲気もありましたが。21話で一応解説はあります。