nyaro さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
面白いですが、焦点ぼやけすぎです。代理店の匂いがします。
結構面白いです。でも、テーマを詰め込み過ぎでしょう。親子問題に焦点をあてるなら、絞るべきでした。
あの尊大な子供についてだけでも、嫉妬の問題、人間だったということ、人間のダークサイド、親の態度と子の育ち方、などそれだけで盛沢山でした。
恋愛とイジメ。コミュニティによる子育てという視点もありました。フワフワしたやつも母なんだと思います。これ、要りましたか?
詰め込み過ぎて、それぞれがテンプレ化してしまっています。そのせいで感動もが薄く、考察すべき主張が浅くなっている気がしました。この映画は90分で作ってテーマを絞れば良かったのにと思います。
メインストーリーの熊徹との話はなかなか良かったので、そこは素直に感動できました。両者の成長が感じられました。ただ、家出というか現世に戻ったところからこの焦点がぼやけてしまいます。ここは実際の父親と熊徹との比較が深掘りされるべき場面で、恋愛は必要なかったと思います。広告代理店の匂いがしてしまいます。
演出があまり良くなかった印象です。
あのフワフワのお化けが出てきたとき、お前も一人か?でエサを与える。エッシャー(←間違いデ・キリコというかビューティフルドリーマー)のような影の演出など陳腐すぎて冒頭から大丈夫か?という感じでした。クジラの影のところ。人の心理なら下を見た後、すぐ上を見上げるのでは?そもそも全体的にワンカット、ワンエピソードが長いので冗長でした。
エピソードも多すぎです。旅のパート。中島敦の名人伝的な面白さを狙ったんでしょう。クジラとの闘い。派手な画が欲しかったんでしょう。クジラが登場する狙いが明確でないので、主人公と彼女の間でクジラは何を象徴するかなど描き切れていません。
広告代理店やTV局に迎合してしまったんでしょうか。女性キャラ出すために90分の企画に恋愛いれて丁度120分という感じがしてなりません。
それともサマーウォーズから脱却できていないのでしょうか。どうも作家性も感じないし、テーマも家族とか親子とか分かりやすいものを選んだような気がします。最後も熊徹がああなることの意味がイマイチ感じられません。
アニメ職人としてそこそこ面白くてそこそこ売れるアニメを作りました、という印象です。