napa さんの感想・評価
1.8
物語 : 1.0
作画 : 1.0
声優 : 3.5
音楽 : 2.5
キャラ : 1.0
状態:今観てる
公式同人誌、ファンの方はおとなしく「追憶編」を待とう
本作は魔法科高校の劣等生のスピンオフ作品で、「劣等生」の主人公の妹である深雪視点からお送りする物語……のはずであった。
以下本作を優等生、スピンオフ元の作品を劣等生として記す。
このアニメ単体での評価は非常に難しく、オリジナルである劣等生が評価されているため、どうも比較して見劣ってしまう。
見劣っていると感じる点は以下である。
1. 作画
2. キャラクターの仕上がり方
3. ストーリーの組み立て方
1. 作画
本作は小説版劣等生のイラストレーター兼アニメーションのキャラクターデザイン・総作画監督である石田可奈さんの絵柄より、優等生の漫画家である森夕さんにテイストを寄せているように感じる。
小説およびアニメの劣等生を見ている私からすると、これがどうにも(幼稚な言い方になってしまうが)二次創作のような気分になってしまうのだ。(実際スピンオフなのだが)
多くの方は承知だろうが、劣等生のアニメの一期と二期ではアニメーション制作会社がマッドハウスからエイトビットに変更になったのだが、ここでは大きい変化を感じなかった。
しかしながら、二期と優等生では明確な差があり、これが私を含む多くの劣等生ファンからすれば、劣等生を期待していたのに別のものを見せられた気分になる原因なのだろう。
2. キャラクター
前述の通り本作の主人公は司波深雪で、そのクラスメイトであるほのかや雫にスポットが多く当たる。しかしこのキャラクターたちに劣等生との差を非常に大きく感じる。
例えばほのかの鼻血を垂らすなどのオーバーリアクション、生徒会メンバーの達也をからかう姿……など数えればきりがない。
劣等生では「優秀な魔法師としてしっかりしているんだけど、中身は女子高生なところもある」というような、キャラクターの個性を活かしたメンバーたちが、優等生では外側の部分を取り除かれたある種ギャグマンガのキャラクターのような立ち振る舞いをする。
劣等生では描ききれなかったキャラクターたちの成り立ちや葛藤にフォーカスできれば、このような立ち振る舞いをしなかったんだろうなと個人的には思う。
例えば、ほのかが光系魔法が得意だというシーン、ほのかと雫が世界は広いねというシーン、雫が司波兄妹を十氏族と勘繰るシーン、ウィードとブルームの対比のシーン……などなど、キャラクターの行動原理にあった行動をさせれば魅力的に映ったのではないか。
3. ストーリー
本作は劣等生の入学直前からストーリーが進行する。第一話は入学直前の話であり、劣等生未視聴の方でも深雪と達也の関係が分かるよう配慮されていて好感が持てた。問題は第二話以降である。
前述の通り劣等生では魅力的だったキャラクターたちがある種奇怪ともいえよう行動をたびたび起こす。またこのキャラクターたちにフォーカスされた話は5話視聴時点ではなく、劣等生のストーリーを深雪あるいはほのかや雫視点で追っていく作りをしている。
これでは劣等生のダイジェストを見ている方が遥かましである。
3話4話と視聴するにつれて、原作視聴が大前提であるような話の展開がめくるめく起きる。具体的に言えば劣等生の7話分の話を3話でまとめている。何のために主人公を変えたんだろうか。
また、ウィードとブルームの対立が執拗なまでに描かれているが、これに対する主人公サイドの意見は全く変わらず、シーンとして必要なのか、と思わせるほどである。さらに言えばお色気シーンにも時間が割かれておりこれにもイラついたのは私だけではないだろう。
6話の予告では、九校戦に伴い原作ではスポットが浴びられていなかった1年生の対戦相手たちが紹介されているので今後の展開に期待したい。
以上の通り、優等生はアニメーションとして「劣等生」であると私は思う。
そして総評をタイトルに記した通りおとなしく「追憶編」を待とうと思う。
追記
最終話まで見ました。
作画は改善されず、ストーリーも改善されず、キャラは崩壊したまま……。
公式同人誌と名付けたいと思います。