Rere さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これが見たかったと叫びたくなるほどの最高のアニメ映画
アニメ映画の歴史に残るほど秀逸な作品。
考え抜いて作られた90分間のアニメーションには一切の無駄がなく、90分間のそのどのシーンも重要で意味がある。
たった90分間とは思えない内容の多さ、次々と新たな展開があり進みは全体的にかなり早い、が!
観ている側を一切置いていかない。絶妙なスピードで物語は進み、すんなりと内容が入ってきて作品を楽しむ余裕がある、同時にお洒落な演出を挟みつつサクサク進行していく物語は観ていて爽快感を覚える。
観ていて時間を忘れる、どころか上映が始まってどのくらい経過しているか全くわからなくなる。
ポンポさんは映画プロデュサーとして自分の思い描く良い映画像を語っている。余計な肉付けでブヨブヨに太った映画はダメ、90分という現代には最適な娯楽としての時間を厳守する
そんな彼女の矜持がこの映画にしっかり反映されて最高の完成度を誇っているのだから、彼女のカリスマ性というものを感じざるを得ない。
ポンポさんを演じる小原好美さんの演技も最高だった。
彼女の元気なところ、可愛いところ、真面目なところ、カッコいいところ、全てが声で伝わってくる。
なんなら「ポンポさんが来ったぞーー!」の一言からもどこか聡明さが感じられる。
あらゆる裏付けの上で、ポンポさんというキャラクターは圧倒的な魅力を発していると言えるだろう。
ほかのキャラクターも、こと主人公ジーンに関しては特にだが、みな非常に魅力的なものばかりだ。
過去を描きキャラクターに深みを出したり、それぞれの掘り下げがしっかりされている。
演出面もかなり評価できると思う。
言葉なしに、映像だけでそのシーンの意味がしっかりと読み取れる。
しかし、映像ですべて見せ切らず場面を切り替えることで匂わせ程度に留まらせるのもクールだ。
スローモーションはただカッコよく見せるに留まらず描かれたキャラクターの一瞬の表情や動きから感情を視聴者に読み取らせる。
映画をカット編集するところで精神世界の主人公は剣を手に大量のフィルムを切り裂いてつなげる、この演出も編集の難しさや大変さと同時に楽しさや爽快感を見せてくれた。
「一番観てほしい誰かのために映画を作る」そんな言葉とともにポンポさんに強烈なフォーカスがかかっていく。
この一つ一つの語らずに見せる演出がこの作品をお洒落でプロフェッショナルな映画製作という題材には最高にマッチしている。
が、そういった物語上のもの以前にSHIROBAKOのように映画を作ることの大変さや楽しさ、責任、そういったものは落とさずしっかりと描いており「映画作り映画」としての完成度も十分以上のものなので、その点でも楽しめる人は多いだろう。
この作品は少ない劇場で上映して、一部の人間にしか見られず終わるべき作品ではない。
ぜひたくさんの人に見てほしい。
アニメが好きな人はもちろん、映画が好きな人、ただ暇な時間を持て余している人。
絶対にこれ以上ない満足感を得ることができるし、たった90分の史上最高の娯楽として、これを劇場で観ることができるという貴重な機会を逃してはならない。
たった90分でアニメ2クールを見せられたような満足感。
一度見にいくだけでは足りない。
ぜひ2度3度劇場に足を運びたい作品だ。