ウェスタンガール さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
三月町のライオンたち
英語独特の表現で、生き物のグループである“群れ”を表記するときに、その動物をイメージした特質で呼ぶことがあるそうだ。
例えば、鳥のフクロウはパーラメント(議会)であり、カラスはマーダー(殺人)、虫の蟻はアーミー(軍隊)といった具合だ。
そしてライオンのそれはプライドと呼ばれる。
百獣の王のイメージであろう。
"pride of lions"
さらに、群れをコントロールするのはメスたち、完全な母系社会なのだ。
3月のライオン第2期、それは誇り高きライオンたち、川本家3姉妹の勇気あふれる物語である。
もちろん、獅子王を目指すオスたちの物語に抜かりは無く、非常に魅力的な駆け引きとドラマが、そして心安らぐコメディが散りばめられており、全く将棋を指したことの無い者であっても、棋士の気持ちに共感し、共に涙するであろうことは間違いなく、誠に素晴らしい演出作画といえる。
それでも、本筋を形作るのは、川本家というプライドを守るための、非常に長く苦しい戦いである。
矢面に立つ“ひなちゃん”の勇気に救われる主人公“桐山零”の姿、差し伸べられる小さな手の演出の素晴らしさと言ったらない。
ここに至って、この作品の大きなテーマが、社会を形作る大きなファクターである概念が提起される。
“恩”である。
彼、桐山零が体得したそれは、何物にも代え難い崇高な存在、彼自身の血肉となって、これからの人生を支えて行くに違いないのである。
ちなみに、本編でも語られている事であるが、棋士になるための第一歩は、奨励会に入ること。そしてその為には、いわゆるプロ棋士に弟子入りしなければならない。
しかし、師匠は弟子に対して一切の報酬は求めないそうだ。
そこには、脈々と受け継がれてきた“恩”に報いたいという確かな意志を感じるのである。