padatal さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
最高の清涼系ラブコメ!
何度も何度も見返しています。特に気持ちが落ち込むことがあった日などは、あらためて第一回から見直して、そのたびにすごく笑って、すごくきゅんきゅんして、さわやかな気持ちになれます。
私にとっては清涼剤のようなラブコメです。
エリートサラリーマンの亮と普通の高校生一花さんのじれったい恋の物語です。
年の差(17才と27才)もあって、ストーリーを本当に気持ち悪いと思う人もいるようですが、私にはむしろ27才の亮さんの切なく純粋な思いが心に迫ってくるストーリーに見えます。
亮さんは厳しい父親のもとで父親の命令に従って人生を過ごしてきたけれど、途中からそれに疑問をもち、父親と衝突するようになりますが、結局父親の言う大学に入り、自尊心が傷ついて自嘲意識を強く持ちます。
亮さんは外見がよく、勉強やスポーツもよく出来たために女の子にももてましたが、自分の中はいつも、自分はだめだ、自分は父親から独立できない、という意識にさいなまれていたように見えます。
おそらくその中で、言い寄ってきてちやほやしてくれる女の子と遊ぶようになり、それが父親への一種の反抗として、親に逆らって自分の自立性を見せつける行為として、だんだん定着し、ひどくなっていったように思います。
自分によってくる女の子は、ただ父親に反発し、自分本意に振る舞えることを誇示するための手段であり、女の子自体は全くどうでもいい存在で、関心もありませんでした。
だから名前も知らないし、個人的関係を築こうともしていないし、「超ドライ」で、「自分から告ったことはない」状況が生まれました。
父親を見返すためでもあったのか、勉強を頑張っていい大学・いい会社に入り、いい給料を稼ぎ、いい車に乗り、さんざん自分勝手に女遊びを続けます。
その中で、自分がもてること、自分が優秀なこと、自分は女を満足させられることなどについてはそれなりのプライド・自信ができました。
それでも亮さんの心は、実は全く満たされていません。
亮さんは、心の奥では、こんな生活でいいわけない、と感じているのです。
こんな自堕落な人生を続けていてもだめだと、わかっているのです。
本当は真面目で優しい亮さんは、数年~十年にわたる自虐的な遊び生活を続けながら、本当に生きたいのはこんな生活ではない、とずっと思っていたのだと思います。
本当は、誰かに、はっきりそう言ってほしい。
誰かに、自分の間違いを正してほしい。
自分がひどい最低の男であると、強く言ってほしい。
そして自分が本来の自分を取り戻すきっかけを与えてほしい。
調子にのっている自分に、正論の冷や水を浴びせかけてほしい。
心の奥で亮さんは、こう必死に叫び続けていたのだと思います。
そこに、まさかの展開で、妹の友人から「気持ち悪い」という正論をあびけかけられました。
誰かに自分のゆがんだ人生を正してほしいと思っていた時に、その人が突然あらわれたのです。
調子に乗った自分の自慢や自分勝手さをきびしく冷たく指摘してくれる人。
自分を真正面から正して、指摘してくれる人。
自分の眼をさましてくれる唯一の人。
本来の自分を取り戻させてくれる人。
それが一花さんだったのだと思います。
顔や能力によって周囲からちやほやされ続けた亮さんに対して、初めて「気持ち悪い」と面と向かって言ってくれた人だからです。
だからこそ、亮は一花さんからの「罵倒」を心から期待するようになったし、また罵倒してくれる一花さんこそが亮にとって大切な人になりました。
「大切に思えば思うほど、どうしていいかわからない」くらい大切に思う気持ちも切ないし、「俺のこと好きになってもらえないだろうか」そして「叱ってほしい」と願うようになっていったのも、本当に切ない過程だったと思います。
「年の差とか世間体とか、どうでもいい」という覚悟のセリフは、亮さんの切なさをめちゃくちゃ表していました(その後の展開が最低で爆笑でしたが)。
つまり、亮さんがあそこまで一花さんに一途になったのは、一花さんが亮が十年前から続けてきて習慣化してしまった、本人も嫌がっていたねじけた人生を、唯一、変えてくれることのできる人だったからです。
そう思うと、もう、本当に亮さんの純粋な気持ちで、心の中がいっぱいになります。
亮さん、一花さんに出会うことができて、本当によかったですね!!
亮さんが一花さんを大切に思う気持ちで、私も胸がいっぱいです。
「一緒にゆっくり大人になりましょう」と一花さんに言った亮さん。
これから自分が先に年をとっていってしまいますが、ずっと一花さんを大事にして、亮さんが望む、真っ当な自分の人生を歩んでいってほしなと思います。
最高のピュアなラブコメ、ありがとうございます!!
あと音楽について。
オープニングとエンディングの曲もとっても大好きです。最終回の終わりに入ったリナリアのシーンは、本当に感動しました。(イラストもとっても素敵でした)
あと声優さんについて。
とにかく、亮さんと一花さんとの掛け合いが最高に面白くて、お腹がよじれるほど笑うことが多かったです。
最高にお気に入りなのは、最終回の階段で抱きしめた時に、一花さんに対して亮さんがこたえた「はい」という小声の返事です。
もう萌え死ぬかと思いました。
あの声が頭の中で無限リフレインしていて、自分もああうい「はい」の言い方の練習をしています。
真面目で誠実で一花さんへの愛にあふれ、一花さんを守りたい気持ちがあふれた一言でした。
逆に、第一回の一花さんの「気持ち悪い」のあとの亮さんの「えっ?」の声が、最低に醜くて最高です。
高いプライドが折られた瞬間がよく現れている声の調子で、作品全体を動かす出発点になっていたと思いました。
「えっ」から始まって、「はい」で終わる。
最高の展開でした。
一花さんの声もとても素晴らしかったです。
お二人の声優さんの力で、まんがを読むよりも、アニメのインパクトと感動が増したと感じました。
ありがとうございました!