7でもない さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
「あんた教えるのが本当下手だな、駿師匠」
最初、細田監督は複雑な家庭環境で育ったんだな大変だなと思っていたけど、怒ってばかりで何も教えてくれない、天才すぎて教えるのが下手、{netabare}名前は伏せますがアニメーションの巨匠で、いつも若い女性をヒロインにしている人がいます。率直に言うと、彼は男としての自分に自信がないからそうしているのだと思う。彼の若い女性崇拝はイラつくし、関わりたくない{/netabare}、などなどの劇中のせりふからははーんと分かった。
獣人界はジブリの森で、熊鉄は宮崎駿、九太/蓮は細田監督なんだ。
宮野守演じる一郎彦は駿の下でストレスを貯めていた他のジブリアニメーターや自分と似たようなジブリ関連の次世代のアニメ監督家、さしずめ庵野監督や米林監督の比喩だろうか
序盤で熊鉄に見初められ、やがて熊鉄の背を追いかける九太、修行を始めてから九太は熊鉄にもっと分かりやすく教えてくれよ!とか他と比べてだらしない等めちゃくちゃに罵倒する。これも愛です。会ってすぐ食事しようとして玉子かけご飯をぐぁつぐぁつ食べたり、口の中から沢山飛ばす汚いシーンがあるが、今気づいたけどたぶんこれも師匠の演出方法への表裏一体のリスペクトであり、同時に意趣返しなのだろう。そしてやがて熊鉄のステップを学んだ九太は師匠、俺をみろ、俺から学べと叫ぶ。これはもうまんまなんだろうね。
だとしたら熊鉄が最後人の姿を捨てて物を言わぬ神刀になり、蓮の胸の中に封じられるのは監督の監督に対する究極の愛/憎なのかもしれない。
作風はかなり尖っている。途中日本の戻ってからどういう風に着陸するのか悪い意味ではらはらしたけどある程度予測範囲内に着陸してくれた。しかしこんなに現実と異世界を自由に行き来する作品を見るのは久しぶり。劇場版ドラえもんみたい。でも自由に2世界を渡り歩き、えーでちゃんと知り合ったりする割に逆に後半以降は勉強してる事が多く世界が狭く感じてしまった。ただ最後にでてくる炎の剣が映画冒頭をシーン回収しているのは気持ち良かった。
演出・編集・背景は素晴らしいがキャラデザや表情付けはかなり癖がある。獣人界の描写よりも渋谷~新宿や地下鉄内の描写の方が印象に残ったかな。よくもまああんなに多くの人数を描いたものだ。そしてクジラ。日本のサブカル界では空飛ぶクジラがキーファクターだったりラスボスや中ボスな事を時折みるけど、大元のネタはなんだろうな。無人の渋谷の道路をクジラの影が徘徊するイメージは鮮烈だ。またCGと手描きを組み合わせた複雑なカメラワークのシーンは本当に素晴らしい。いくつかどうやってこれ作っているんだ?って気になるシーンがあった。
というわけで後半は別の作品みたいな感じもするけど結局なんだかんだで楽しめた。以後細田監督はジブリの森に戻る事はなかったと言う。
初見2021/7
P.S
関係無いけど、CMで塾のゼット会クロスワードが龍とそばかすの娘のタイアップCMをやっていたけど、クロスワードは新海作品専属かと思ったら、両方ありなんだね。まあそりゃそうか.......。