遊微々 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
夏の夜や 想い叫びし 五七五
フライングドッグ10周年記念作品。
『四月は君の嘘』で知られるイシグロキョウヘイ氏が監督を務めており、今年の夏に是非とも見るべき青春映画。
去年から告知は散々されてたんですが、コロナの影響により予定が延びに延びて、この度ようやく劇場公開に。
宣伝時点から見に行く気満々ではあったんですが、いやー、大変満足いく作品でしたね。
作品のテーマとしてはそうですね、自分が感じたのは「コンプレックスとの向き合い方」ですかね。
主人公はチェリー(苗字の佐倉からもじったあだ名)という少年。人から話かけられないようにするため、常にヘッドホンを掛けている口下手な性格なんですが、俳句が趣味という一面があり、SNSに自分の思いを綴った一句を投稿しています。
そんな彼と運命的な出会いをするのがヒロインのスマイル(SNS上でのあだ名)。彼女は日常の可愛いを見つけることをコンセプトとした動画をSNSで配信し、人気を集めるインフルエンサーなのですが、自身が出っ歯であることにコンプレックスを抱いており、人前では常にマスクを着けています。
それぞれ悩みを抱える両者ですが、交流を深めるうちに、互いに相手のコンプレックスに対して好意的な感情を抱くようになります。
皆さんどうでしょう。誰しも自分の中に何かしらのコンプレックスを抱えているとは思いますが、それに対して好意的な言葉を投げかけられたらどう受け止めますか?しかもそれが、自分が好意的な感情を抱いている相手からのものだとしたら?
人によって価値観というものは千差万別であり、嫌いなものを無理に好きになる必要性というのはあまり無いと思います。
しかし、自分が好きな人が好きだと言っているものは、誰しも好きになろう、理解しようと努力しませんか?それが自分に関することだとしら尚更だと思うんですよね。
そしてそれは相手にとっても同じことなんですよ。
自分のことを、短所だと思ってるところも含めて好きだと言ってくれるような人に対しては、こちらも同じように接することが最大級の愛情表現、そんなことを描いていたように感じ取れる作品でした。
鑑賞後の気分が夏の青空のように澄み渡る非常に清々しく爽やかな映画でした。オススメです!
個人的には今作に出てくる句を夏井先生に全力査定していただきたいですねえ、YouTubeとかで。