プラ さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
思わず世界観に引き込まれた。
録り溜めていた全話を観始めたのは 3 日前・・・仕事中も考えて気が散ってしまうくらい続きが気になり、少し夜更かししつつ一気見。期待を裏切らない、とても良い出来だったと思う。
内容に関して、「ウラ社会の出来事」を中心としたミステリーと言えよう。少し変わり者の主人公が、ある日突然ウラ社会の事件に巻き込まれてしまい、協力しつつ解決していくというストーリーで、ある意味ではありふれているように思える。
しかし、登場人物が全員動物である――ので、登場"人物"と言うのはふさわしくないかもしれない――という点が、かなり異質である。動物たちが普通に言葉を喋って意思疎通をし、普通の人間社会で暮らしている。まあ、アニメや漫画などファンタジーではよくあることだ。個性を強調するためにアイコンとして動物を用いている、いわば「擬"動物"化」をしているのだろうか。
・・・と思ったが、それに対しても違和感がある。彼らは動物であるにもかかわらず。いかにも人間らしい名前で呼び合っているのだ。アニメ中でやり取りされるセリフも、とても人間然としている。
さて、ストーリー進行について、主人公・小戸川は第一話でさっそく事件に巻き込まれてしまう。小戸川はタクシー運転手を職業としているが、何日か前にタクシーに乗せた人物がどうやら関わっていたらしく、ヤクザの「ドブ」という人物に銃で脅されてドラレコのデータを差し出す。その際に、小戸川は交渉をし、ドブから情報を引き出しつつ、協力体制を組むこととする。
その後、組織内でドブと対立している「矢野」を筆頭とするグループからの刺客が来て、同様にドラレコのデータを要求されるが、断りつつそれとなく情報を聞き出し、事件の真相へと踏み込んでいく。
・・・一話ごとに伏線が張られ、伏線の答え合わせがなされ、ということが繰り返され、事件の発端が「アイドルの殺人事件」であることが終盤で明らかになる。小戸川はその事件に関与したと思われるアイドルを乗せていたらしい。その事件をもみ消したのが矢野一味であり、それらを詳らかにして矢野の鼻を明かして覇権を得ようとしていたのがドブであった。そして、小戸川は矢野とドブの対決しているスキに、一網打尽でヤクザを逮捕させようと画策していた。
・・・作戦決行の前に、小戸川の出自について明らかになる。小さい頃、親が一家心中しようとしたところから命からがら助けられた過去があった。その時の事件のショックが影響して「視覚失認」という高次機能障害を発症していたのだ。登場人物が全員動物だったのは、小戸川が人間を人間として認識できず、動物であると認識していたからだったのだ。
そして、いよいよ作戦決行。作戦は想定通りに行かず、小戸川は最終的にタクシーごと海に飛び込むハメに・・・しかし、仲間になんとか助けられた。
例のアイドル殺人事件に関わったヤクザとその一味はまとめて逮捕され、予定通りではなかったものの小戸川の目的は達成された。病院から目を覚ました小戸川の目に映っていたのは、なんと"人間"たちであった。小戸川は、人間たちの特徴と似ている動物として認識していたのだった。
小戸川はアイドル殺人事件に関わっていると疑いを持たれていて、それに反論しづらかったのは、それに関わったアイドルが黒毛の猫に見えており、同じ見た目の猫を自宅で飼っていたからであった。最終的にアイドルは人間で、自宅にいたのは猫だった。これですべての「答え合わせ」が完了した。
・・・かのように思われたが、一つだけ謎が残っていた。アイドル殺人事件の犯人である。世間的には同じグループに所属していたアイドルということになっており、小戸川もそういう風に思っていただろう。
そういえば、殺された三矢の代役の和田垣がタクシー乗った時、スマホを仕込んでいたような・・・あの伏線は?と思った次の瞬間、和田垣が三矢を考察したシーンが映された。これですべての「答え合わせ」が終了した。その後、和田垣は母親と何か話し込んでいるシーンになる。どうやら和田垣母も事情を知っているようである。
そして、最後のシーン。和田垣はついに小戸川のタクシーを見つけ出し、乗り込む・・・きっと、小戸川も殺されたのだろう・・・
新たな謎が生まれた。最後にわざわざ持ってたボールペン、あれは何だったのだろう?見逃してしまったかもしれないので、もう一度見直すこととする・・・
自分用メモ:ボールペン、タクシーに忍ばせたスマホ回収について、オーディオドラマ