STONE さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「ワラビーズ」の魅力が出てくるのは、この先かなあ
原作はテレビ放映時は未読だったが、その後アニメ範囲は読了。
現実においては女子サッカーは女子野球よりは普及している感があるが、アニメ作品となると
逆転しているようで、そういう点では珍しさを感じた。
普及という部分に関しては冒頭から能見 奈緒子の引退会見における女子サッカーの今後に
対する危惧から始まるが、現実でも2011年は世界一になり話題になったなでしこジャパンが、
これを書いている2023年は一時はテレビ放映が決まらないという状態になっていたりと、
本作の不安がそのままリアルで起きてしまったかのよう。
こういった部分に関して、浦和邦成高校の桐島 千花のような使命感を背負ったような選手も
いれば、主人公の恩田 希のようにそういった部分を堅苦しく思うような選手もいたりと
多種多様。
ただ蕨青南高校の対戦校キャラも含めて、彼女たちを見ていると、これは対立概念ではなく、
自身が楽しんでプレーし、それに魅了される人が増えれば、そこに女子サッカーの未来が
ありそう。
サッカーにしろ、野球にしろ、これまで男子主体だったスポーツものに関しては女子ゆえの
不遇が描かれたりするが、本作もそういったところがちゃんと盛り込まれている。
主人公の希に関しては中学までは男子に交じってサッカーをやっていたようで、女子
サッカーそのものが視野になかったようだが、彼女が女子サッカーの魅力に目覚めていく過程は
なかなか良かった。
ただ、内容に関してはスポーツものによくある試合におけるカタルシスは皆無で、原作途中の
捲土重来前の部分だけを描写されたような内容。
才能ある1年生が入ったとはいえ、急ごしらえ感のある蕨青南高校が強豪の久乃木学園高校や
浦和邦成高校にそう簡単に勝てるわけもなく、リアリティを感じる内容ではあるが、サラッと
流されてしまった埼玉県予選の勝ち試合を描くなり、終盤の浦和邦成との対戦を惜敗にするなり、
本作内において主人公校で盛り上がるようなものが欲しかった。
そんな中、要所要所で出てくる希の才能を発揮するようなシーンはカタルシスが得られる
数少ない箇所といった印象。
本作は登場キャラによるやらかしやボケによるコメディ要素が結構ある。
通常こういう部分はシリアスものにおける緩急を付ける良いアクセントになったりするが、
本作は蕨青南がチームとして動き出す、あるいは蕨青南のキャラが活躍する前の段階でやたらと
やってくれるため、むしろストーリー上において話の腰を折っているだけに思えてしまった。
作画に関してはあまり躍動感の感じられないもの。
あと顔がやけにのっぺりしたものに感じられてしまった。同じ原作者、新川 直司作品の
アニメ化である「四月は君の嘘」は顔の作画がなかなか良かったことを考えると、アニメ化に
あたってのキャラクターデザインの問題なのかなあ。
不満点ばかり挙げてしまったが、主要キャラの希、周防 すみれ、曽志崎 緑を始め、キャラは
割と魅力的であったため、なんだか勿体ない感が強い。
2021/07/13
2023/09/10 加筆・修正