Dave さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
倫理を守る。そして劣情を催す。
女子高生と紡ぐ「ほのぼのしてあったかい日常」とトレイラーで謳っていたわりには、わりとヘビーな設定で来ましたね。アニメにありがちの無垢なヒロインではなくて、疵(きず)のある女子高生を持ってきたのは斬新でした。ちょっと受け手を選ぶ作品かもしれませんね、私はわりと楽しめましたが、突っ込みたくなる気持ちもわかるかなあと。
本作にはお気軽なエロ描写はほとんどありませんが、リアリティがある分、そこらのDTホイホイなアニメより劣情を催す作品に思います。一方で、無垢なJKというDTドリームを1話からぶっ壊しに来ますので、そこが許せないという層も一定数いるでしょう。でもまあ、現実にはパーフェクトな人はほとんどいないでしょうし、間違いも犯せば知られたくない過去もある。悩んだり、反省したり、暴走したり、翻意したり、まあそういうのをひっくるめて成長していくんでしょうね。
とはいえ、最後までかたくなに手を出さなかった主人公はよかったです。どんな言い訳をしても、その一線を越えてしまったらただのエロ妄想アニメに成り下がるところでした。現実にはあの状況下でそこまでの鋼の意志を持つのは容易ではないですし、そこまでの倫理観を持っているなら初めから…というツッコミもわかりますが、それを言ってしまうと物語がそもそも成立しなくなってしまいますので。
ただ主人公に関して言うと、それなりに真面目に仕事してたり自分を律していたりはするけど、どうしてそんなにモテるのかをもう少し説得力を持たせても良かったかも。たとえば、何かでひたむきに努力しているところを見せるとか、過去のエピソードに裏打ちされた信念を打ち出すとか。そういうところがないので本作の主人公、なんかこう「いい人」で倫理観は高いんですが、モブキャラ感が強い。なので、主人公であってメインキャラじゃない、という微妙な立ち位置。
物語の落としどころの「ありがち」感や、主人公以外の人物が薄っぺらいことはやや気になりましたが、量産型アニメの氾濫する中、きちんとオリジナリティをもって作られていますし、記憶に残るアニメでした。