レオン博士 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
滅びの美学を描いた物語
大正時代の吸血鬼と吸血鬼を狩る「人間」達の話で、特定の一人を主人公とせず、それぞれの立場で無慈悲な世界の中で自分の信念を貫いて生きるキャラクター達の生き様がカッコよく、重くどっしりしていて見ごたえがあるアニメです。
ただ、「滅びの美学」を神聖視しているような側面があるので、好き嫌いは分かれそう。
私はこういうの好きですけどね。
キャラクターの「生」と「死」をとても丁重に取り扱っており、生への渇望や死への恐怖、死に直面しながらも失わない誇り。良いですね。
全体的に暗く哀愁漂う話だが、雰囲気はとても出ていて話としても面白いので重々しさはあるが視聴後に疲れるといったことはなく、自然と続きが気になるシナリオでした。
結構鬼滅の刃に似ているところも多く、鬼滅の刃をちょっとリアル寄りにして大人向けにした感じの硬派なアニメ。
残念なことを先に言うと、人物作画。瞳の描き方があまりよくない。
ヴァンパイアなら演出ととれるのだが、普通の人間の瞳の描き方もどこを見ているのかわかりづらいので時々、顔が不気味に感じることがある。
あとはシナリオについては「面白い」と何度も書いていますが、正直かなり雰囲気でごまかしているところはありますね。細かいことを気にしだすと、なんで?って疑問がいくつもあったし、基本的に滅びの物語だと思うので、好き嫌いはあると思う。
大正時代ということで、史実のような日英同盟をはじめとした海外との関係も随所にあらわれており、文化や文明レベル等の歴史考証はかなりしっかりしていてとても素晴らしいですね。
シナリオ的には説明不足なところが多く、時系列順になっていないこともあってわかりづらいが、話はよくできていて面白いです。
1話は初見だとよくわからん話ですが、後から見返すとすごくいい話だって思えるので、1話はもう一回視聴しなおすのをオススメします。
なお、初見の場合は2話から一気に面白くなっていきますね。
本作の中心は吸血鬼。驚異的な身体能力を持ち、不老不死な無敵の怪物ですが、
その力を政治あるいは軍事に利用しようとする日本政府と、ヴァンパイアを狩る者達と人間を襲うヴァンパイア達、それぞれの立場、思惑が交錯し、しっかりとした時代考証と相まってとても見ごたえのある世界観を形成しています。
上手にフィクションとノンフィクションを融合して上質なエンタメへと昇華しましたね。
シナリオとしては、ヴァンパイアになってしまった者達の苦しみ、悲哀、残された家族の悲しみ、家族の絆、仲間の絆
そういったものを重々しくも丁寧に取り扱っており、命の重さ、絆の深さが伝わってきて、それぞれのキャラクターがちゃんと「生きてる」って感じがします。
何よりも良かったのは、部下の生き様を見届け、誇りを守るために骨を折る前田のカッコよさ。
こういう人を上司にした部下は幸せですね。
とても面白かったです。