「白い砂のアクアトープ(TVアニメ動画)」

総合得点
75.9
感想・評価
445
棚に入れた
1360
ランキング
760
★★★★☆ 3.6 (445)
物語
3.4
作画
4.0
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

タック二階堂 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

うーーーーーーーん…

という感じの、P.A.WORKSオリジナル“お仕事モノ”アニメです。ナイスですね~。

なんか爽やかなアニメっぽいですね。あ、詳細は公式サイトでも見てください。

監督は「凪のあすから」「色づく世界の明日から」の篠原俊哉氏。キャラクターデザインも「色づく」を担当された方なので、初回を見る限り、すごくキャラデザがいい感じです。

=====初回視聴後、所見です。
{netabare}
「凪あす」っぽい海!って感じの雰囲気ですが、ストーリーは18歳のJK・海咲野くくるが働く沖縄の水族館に、東京でアイドルをやっていた宮沢風花がアイドルを辞めてやってくるというところから始まる物語。

その水族館には閉園の危機が訪れていて、ふたりが存続をかけて頑張るというお話っぽいので、これはP.Aが得意とするお仕事アニメシリーズという印象。

「花咲くいろは」とか「SHIROBAKO」とか、そういう声を聞きますが、なんとなくのイメージだと「サクラクエスト」に近いんじゃないかなって思ってます。

ストーリーは、予想の斜め上をいくという展開ではありませんが、こうなるだろうというのがしっくりと来て、安心して観ていられる青春ストーリーになりそう。ただ…
{netabare}
くくるが、自分の名前が書かれた母子手帳を見ているシーンに不穏さも。まさか、その若さで経産婦の設定!? このあたりの謎も、徐々に明かされていくのでしょう。
{/netabare}
P.Aのオリジナルアニメは「神様になった日」でミソをつけちゃった感じがあるので、この作品での巻き返しに期待したいです。

まあ、あれはP.Aのせいじゃないとは思うけどね……。というわけで、今期の本命が、文句なしの立ち上がりでスタートしました。
{/netabare}
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
まあ、皆さんご指摘のように、OJTでミスった新人に、あの怒り方はないよねえとは思いましたw

それと、確かに沖縄が舞台でヒロインもウチナーンチュなんだから、沖縄出身の声優さんを起用したほうがスマートでした。島袋美由利さんでも、下地紫野さんでもメインヒロインは張れたのでは?

でも、なんというか空気感がいいのは、さすがP.A。地元の女の子たちの飲み会とか、いいですよね。「SHIROBAKO」感があります。ただ、集合が19時で、みんなオンタイムで揃うなんてことはないですよね、琉球タイムでw

まだ、ガッツリお仕事アニメか、沖縄を舞台にした日常アニメか、どっちに行くかわからない感じですね。まあ「花咲くいろは」っぽく仕上げるのかな。
{/netabare}
=====第3話視聴後、追記です。
{netabare}{netabare}
くくるお気に入りのペンギンが病気になりました。

館長であるおじいに連絡すべきだという金髪飼育員の言うことを聞かず、独断で臨月の獣医さんに相談、無理を押して来てくれました。

案の定、がまがま水族館で破水したので、大騒ぎ。なんとか観光協会の子にクルマで送ってもらい、無事に出産できました。
{/netabare}
というお話。

誇張なしに、これだけでした。

う~ん、いくら2クールとは言え……。

まず大前提として、僕はこの作品を非常に好意的に観ています。P.A.WORKSのオリジナルで、しかも青春お仕事モノ。期待感はハンパない状態です。

で、1話は期待通りの美しい作画、キャラデザ。空気感もよく、これは名作になりうるだろうなと思っていました、が……。

2話で、くくるの奇行に???が付き出して、展開も非常にゆったりで、これが沖縄を舞台にしたアニメの良さでもあるのかなあ、と。

で、3話です。
そろそろフラットに作品として観ていくと、まず、くくるをどうして、こんなおかしなキャラにしてしまったのかという疑問が湧いてきます。

・数学の補講で、提出物にペンギンのイラストを描く
・先生にたしなめられると「別に学校辞めてもいいんだけど、おじいに高校ぐらいは出とけって言われてるから」と逆ギレ
・どう考えてもフラグでしかない臨月の妊婦獣医を呼んで、案の定、破水

さすがに、これではキャラに愛着が湧きづらいです。

もしかするとP.Aオリジナルでも、これは「グラスリップ」路線になってしまうのか…
巻き返しに期待したいところです。
{/netabare}
=====第4話視聴後、追記です。
{netabare}
うんうん。
こういうのでいいんですよ。
よし立て直しました!

今回は程よくエピソードが盛り込まれ、いろいろとこれからに期待できそうな内容でした。

風花ママ襲来!
どうなる?
まあ、説得してモラトリアムを続けていくんでしょうけどねw
{/netabare}
=====第5話視聴後、追記です。
{netabare}
風花ママ参上!

で、くくるが風花に告げたのは「今のうちに逃げろ」。

あー、もう絶対ダメな方向に進めるよなぁ、このアニメ。と、少々うんざりして観続けていたんですが、締め方は上々でした。

結果的には、夏休み中はモラトリアムを続けてよし、という話ではあるんですが、最後のママ説得はよかったんじゃないすか。手をつないでね。

イマイチ、サブキャラの男子チームの魅力が出てこないですね。カイもですが、空也が特にね。反面、女子のサブキャラは魅力あります。実は、この作品のヒロインなんじゃないかという、うどんちゃん。うどんちゃんが可愛いので観ていられるという側面もありますね。「カノかの」の水瀬よりも、よっぽどね。

今回はそんなところ。土俵際、俵に足がかかりましたが踏みとどまったという感じでした。
{/netabare}
=====第6話視聴後、追記です。
{netabare}
ある程度、1話完結っぽい感じなんですね。今回は、がまがま水族館が閉園という報道がなされ、それを聞いて毎年訪れている老紳士が、亡き兄を思い出すというエピソードと、うどんちゃんが夏限定のかき氷屋台を出すために新メニュー開発に頑張るというお話。

いや、実によかったですよ。

老紳士の話は、これ、いずれがまがまに資金援助してくれる伏線だと見ました。たいして深掘りしないから、一体なにがあったのかわからないということもありますが、ちょっと涙を誘うものでした。そして同時に、くくるの両親と姉(妹?)が幻影に出てきましたね。やっぱり双子っぽいです。

そして、うどんちゃんは今期アニメのナンバーワンヒロインと言っていいでしょう。和氣あず未さんの声も相まって、可愛いですね。今回よかったのは、思いつきでスイーツのお店出しましょうという展開で、僕は「いやいや、食品衛生法とかあるでしょ」と思ったのですが、ちゃんとそこをフォローしてきました。

これぐらい当然だと言えばそうなんですが、できていないアニメが多いですよね、「スーパーカブ」とか。

3話で、くくるの異常さが気になっていたのですが、徐々にエンジンが掛かって面白くなってきた感じですね。さすがP.A.WORKSオリジナル作品です。

これなら大丈夫そうかな。そろそろ安心して観ていられるようになってきました。
{/netabare}
=====第8話視聴後、追記です。
{netabare}
あー、やっぱりP.A.WORKSの作品だなあと感じる展開ですね。

基本的に、P.Aの作品って1クールに1テーマしか盛り込まないケースが目立つんですよね。

たとえば「凪のあすから」では、「おふねひき」をやるという大きなテーマだけで1クール、まなかを冬眠から目覚めさせるテーマだけで後半1クールを使いました。

「色づく世界の明日から」は、60年後から来た瞳美を、2018年の琥珀が送り返すだけというテーマで1クールを押し切りました。

おそらく1クールにテーマをギチギチに詰め込まないんでしょうね。この作品も、いまンところは閉館の決まったがまがま水族館を存続させるために、くくると風花とがまがまの飼育員たちが奮闘するという、それだけのテーマなんですよね。

だから、それなりに飽きが来るというのも否定できないという。中盤あたりは、正直どうでもいいエピソードを盛り込んできます。今回が、まさにそんな回。ぶっちゃけ、病院に出張水族館を開いたところで、ガマガマ存続には何の影響もないですし、看護師長がカニが苦手でキャーとか、本当にどうでもいい話。

ただ、ラストに建設中の「アクアリウム・ティンガーラ」の南風原知夢が登場してきましたね。

こういう日常回というか、溜めの回があってこそ、急展開に活きてくると信じていますし、その実績があるスタッフではありますので、心配はしていません。

まあ、おそらく今クールはがまがま水族館がどうなる?というところで1クール押し切り、2クール目からはガラッと展開を変えてくると思います。「凪あす」パティーンですよね。

たぶん、がまがまは閉園を免れず、最後まで抵抗したくくるたちだったけど、やっぱり存続はできませんでしたー。風花も夏休みのモラトリアムが終了して、盛岡に帰ることになりました―。

からのー、2クール目の始まりは、くくるがティンガーラの飼育員になっていて、知夢と一緒に働いているところからのスタート、みたいな。2クール目のテーマ? さすがにわからないけど、風花がまた沖縄に来て、沖縄でローカルアイドルを結成するって話になるんじゃないの? 知らんけど。
{/netabare}
=====第10話視聴後、追記です。
{netabare}{netabare}
くくるが子供のころ、背中を震わせていたという櫂の回想から入ります。

がまがま水族館が閉園まで、あと数日。それでも諦めきれないくくるは、SNSを使って「奇跡の起こるイベント」の開催を告知。しかし、そんな奇跡は誰にでも、いつでも起こるわけではないということで、結局は中止に。

一方、風花はアイドル時代の後輩から、映画の主演というオファーが来ていることを告げられ、迷い悩みます。もちろん、がまがまでの生活は楽しいし、いつまでもモラトリアムが続けばいいと思っていましたが、その反面、自分の夢は何だったのか。努力してアイドルという立場を手に入れたのではなかったのかと自問自答します。

そんな風花の心ここにあらず状態を心配したくくるに、事情を説明すると、またくくるはプイっと機嫌を損ねてしまいます。
{/netabare}
というお話です。

一見すると、たいして話が進まない回だなって感じるかもしれませんが、実はこの回は後々に効いてきそうな重要な回だったと思います。

がまがま存続を諦めきれないくくる。
アイドルという夢を再び取り戻すか迷う風花。

今後描かれるであろう、ふたりの大きな決断の端緒になるのが今回の話だったんじゃないかって気がします。

くくるの性格は、これは意図的に描かれているんでしょうね。アイドルに戻ることに悩む風花の背中を押してやれない、ひとことで言えば子供な性格。これが、どう変わるかを描くのもテーマなのかもしれませんね。

地味だけど、今回は非常に良かったと思います。
{/netabare}
=====第11話視聴後、追記です。
{netabare}
この作品は、1話毎に冒頭で、ククルの言動に眉をひそめさせられて、その後に納得させられる展開が多いですよね。

今回も、いきなり冒頭でくくるががまがま閉館に抵抗すべく、立てこもりを実行します。営業妨害よね、本来なら。

でまあ、台風も近づいているし、今日は臨時休館にしようねえ、とおじい。まあ、そういう営業に影響の出ない展開にしようという意図があったのでしょう。ただ、この話の放送時に台風14号が上陸するというリアルとのシンクロ。偶然とはいえ、実にタイムリーでした。

良作には、こういう神がかったことが起きるんですね。

で、この話でよかったのは、がまがま存続に意地を張っているくくるに、いざ災害などが起こった際に設備の老朽化で生き物を守ることができないということを、完膚なきまでに理解させるという点です。

なぜ閉めなきゃならないの? というのは視聴者も思っていたことで、それをドリフのコントばりにボロさをあちこち露呈させ、これじゃ仕方ないよねと腑に落ちさせる。

くくるの、諦めざるを得ない気持ちと、自分のアイデンティティであるがまがまがなくなってしまう悔しさを、見事に描いてくれました。

おそらく、次回(12話)でストーリーはひと区切り。
生き物をティンガーラに移したり、空になった水槽の並ぶがまがまを、くくると風花で見て歩き、そこで風花から映画出演を決めた話をされる。
そして、ユンボでがまがまが壊されていくのを見て、号泣するくくる。

最後は、東京へ戻る風花を空港で見送って、1クール完。

そんな感じでしょうか。
{/netabare}
=====第14話視聴後、追記です。
{netabare}
12話の1クール目の締め方、13話の2クール目の舞台を変えたリスタートは、おおむね良好だったと思いますが、今回は…

まず、風花が沖縄に戻ってきた理由がわからない。いや、くくるがティンガーラで働いているからというのと、がまがまでのお仕事体験が忘れられなかったから、というのは言ってますけど、それだけでは弱くないですか?

がまがま閉館、風花は夢を追って、って東京へ送り出したにもかかわらず、ふわっとした感じで戻ってきて、さらっとティンガーラで働き始めるという。まさに拍子抜けですよ。

もう少し感動的な再会にできなかったものでしょうか。

それとさー、ティンガーラの人が嫌なヤツ多すぎませんか? おそらく、くくるがメゲずに頑張って周りの人たちが認めてくれるという展開のための、溜めなんでしょうけど。「花咲くいろは」のミンコみたいにね。

副館長なんか、もう理不尽どころか、これ普通にパワハラでしょ。「プランクトン」とか呼んでるし。

でもまあ、そのへんを吹き飛ばすほど、風花の出戻りが違和感がありすぎて、ちょっと、うーん…
{/netabare}
=====第16話視聴後、追記です。
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ペンギンの卵が孵りそうということで、徹夜で見守ろうというペンギン班。でも、チーフの知夢は事情があってシフトに入れないという。

そんなの不公平だと、くくるは直接文句を言いに行きますよ。ぎゃふんと言わせたかに見えましたが、実は知夢はシングルマザーで、徹夜業務ができない事情があったのです。

はたして、くくると風花はどう考え、何をするのか!
{/netabare}
というお話です。

やっぱりティンガーラ編になってからが本番でしたね。面白さがぐんとアップしていますよ。

今回は、シングルマザーの働きづらさを見事に描いてくれました。そして、ティンガーラのような職場になればいいねという誘導のストーリー。これは、脚本が女性の柿原優子さんならでは、という印象を受けました。

そして、ククルが成長していることも、ちゃんと見せてきました。今回は、本当に満点! 素晴らしい回でした。
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=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
うーーーーーーーん…

ずいぶんとまあ、雑にお話を畳んじゃったなという感じです。

P.A.の、こんな感じの作品って、大テーマが1クールに1個で、弱い小テーマの積み重ねで、よく言えばゆったり、悪く言えば薄くなる感じがするのですが(「色づく」なんかもね)、まさに悪いほうに転んだ印象です。

前半クールは「がまがま存続のために頑張る」、後半クールは「ティンガーラで頑張る」。これだけですからね。

まあ、ね、このテーマで、これ以上どうやって作るんだと言われれば、まあ、こんなもんになるのかもしれないけれども…

あ、そうそう。最終話の風花がアメリカに行っちゃったところ。

くくる「答えはきっとひとつじゃない」
風花「悩んでも立ち止まらない」
くくる「同じ夢を見て」
風花「未来を探して」
ふたり「私たちにできることは、生き物のことを考え続けること」

こういう、お遊戯くさいセリフはやめたら?
ふたりの演技も相まって、本当に子どもの学芸会を見ているような共感性羞恥を感じちゃうんですよね。

これじゃ感動できないですって。

1クール目の最後、風花が東京に帰っちゃうけど、2クール目ですぐに沖縄に帰ってくるのもそうですが、アメリカ留学から帰ってくるところまで描かなくて良くない? さっき行ったばかりで、すぐに帰ってきて涙を流しながら抱き合うシーン、これ感動しますかね? ついさっきですよ、飛行機が飛んでいったの。

なんというか、もう少し出来たんじゃないの? という気持ちと、これはこんなもんで精一杯だったかな、という気持ちが入り交じる、なかなかに評価の難しい作品でした。嫌いじゃないけど、めっちゃ面白かったわけでもないといったところでしょうか。
{/netabare}

投稿 : 2021/12/17
閲覧 : 974
サンキュー:

20

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