薄雪草 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
わからなくていいよ。
2021年の奇譚。
どちらかと言うと、随想とか、私小説に近しい作風。
外殻から眺めつつ、その風合いに戯れるか。
ぐっと内殻に没入して、心情を汲みとるか。
鑑賞のお作法は、そんなふうでいいように感じました。
~ ~ ~
作家のエトスも、なかなかのワンダーですから、メッセージ性が掴みにくい。
でも、実は、それが裏メッセージなのでは?なんて思ったりもしています。
「私が切り取る世界観、あなたはどう感じますか?」みたいな。
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アイが獲得したもの。
それが分かれば、この話はもう完結しています。
「エロスの戦士」と「復活」という彼女の言質。
それが、本作の落とし所でしょう。
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14歳の頃の繊細な感受性の残滓。
いくらかご都合主義的な身勝手さ。
あるいは、焦げ付いたままの躓き。
膨張する妄想癖を、今でも楽しめる。
そういったフィルター越しに観るのなら、馴染めたものなのだろうかと。
なので、受け止めとして「分からなかった」って思うのも、「わかったような気がする」って感じるのも、そこは人それぞれですね。
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ワンダーエッグ。
殻の外側は "奇妙な奴ら" の世界。
内側は "内観する自分" の世界。
やわらかなバリアを手ずから破り、少しずつ修復しなおしながら生きていけばいい。
エロスの戦士を自覚として、一つずつプライオリティを築いていけばいい。
描きたかったのは・・・そのあたりなのではないでしょうか。