ケー さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
同情するなら卵くれ!!
特別編まで拝見しました。
率直に言って、良く分からなかったというのが正直な感想です。
臆測ですけど、作り手も視聴者に分かるように作ろうとしてなかったんじゃないかと感じました。
「分からないものを分からないものとしてそのまま受け入れろ」っていうのがこの作品のメッセージなのかなと受け取りました。
キャラクターが抱える問題もほとんど解決されず、人間関係も中途半端なままで続きがあるのか終わりなのか分からない感じで最終話が終わりました。
でもこの作品のリアリティってそういうところにあるのかなと。
現実でも理不尽でスッキリしないことっていっぱいあって、モヤモヤを抱えたまま生きていくのが現実なんだよと、この作品はそういうリアリティを描きたかったのかと、そう受け止めました。
最近のアニメはキャラクターの記号化やストーリーの類型化が明瞭で分かりやすかったり、最後にすべての伏線を回収して綺麗に解決してスッキリと終わる作品が高評価される傾向にある気がします。
本作品はそういう傾向の逆を行っていて、キャラクターは多面的で矛盾を抱えていたり、ストーリー上の様々な問題や謎も未解決のまま放置されています。
だから分かりにくいし、見終わってスッキリもしない。
その意味では今のアニメファンには受け入れづらい、かなり人を選ぶ作品だと思います。
そんな「刺さる人にだけ刺さればいい」という尖った作品を高クオリティで全力で作ってやったぜっていう意気込み、私は好きでした。
商業的には難しいかもしれませんが、こういうアニメの幅を広げてくれる作品はいいですね。
あと最終話の納品が遅れたのは制作スケジュールの管理ミスが原因だったようですね。
最終話の展開が駆け足で、作品の難解さに拍車をかけたのも、このスケジュールの管理ミスが一因だったのではと勘繰ってしまいました。
本来ならもう少し尺があって丁寧にやるはずだったところを、スケジュールが押して制作資金も不足したので、新作部分は尺を短くして説明を端折って間に合わせましたみたいな。
ただでさえ分かりにくい作品なのだから、最終話の内容はもっとゆっくり丁寧に演出をしてもらいたかったです。
最終話の物語の時系列が分かりにくかったり、シーンがパラレルワールドか現実の話なのか分かりにくかったのは、脚本の問題というより演出の問題だと感じました。
原案・脚本家がアニメに不慣れなのであれば、アニメの方法に慣れた監督や演出がうまく補佐してカバーするのが役割だと思うのですが、そのあたりの綱引きがうまく行かなかったのかなと勝手に推察しました。
作画はとてもクオリティが高くて、制作側の意気込みの強さが伝わってくる作品だっただけに、そのやる気がやや空回りしたような終わり方でもったいないなとも感じました。
良く分からない作品でしたが、なかなか消えないモヤモヤを残してくれたという点では、私にとって記憶に残るだけの質量を持った作品でした。