しんちゃん さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
劇伴とSEは素晴らしかった。でも…
当方原作未読、かつバイク乗りではありません。ゆえに、他の方が指摘されているバイクに関する「嘘」には、あまり気づきませんでした。
サティやリストを劇伴に使うという大胆なアレンジ、毎回武川から見える四季折々の山々(南アルプスの甲斐駒ヶ岳、奥秩父の金峰山など)の姿を見せてもらえるというだけで、私としては大満足でした。
また、ホンダが監修に入っているだけあって、さまざまなスーパーカブのエンジン音や駆動の様子なども、徹底的にこだわりのある描写&SEの作り込みがされていて、見応えがありました。
ナレーションもセリフも最小限で、沈黙とピアノ曲そしてSEだけで登場人物たちの心情の移り変わりを表現していくそのストイックな演出は、白眉だったと思います。
一方の、気になったところ。バイクの素人なので、主人公たちが使っているアイテムやバイクの乗り回し方については、違和感を感じることもできませんでしたが、11話の{netabare}椎ちゃんが川に落ちてから小熊が助ける{/netabare}くだりだけは、さすがに納得できませんでした。あれはさすがにあり得ません。
{netabare}防水もされていない普段着で冬の川に転落したら、まず30~40分しか命が持ちません。痛くてもまずは水から出ないと体温がどんどん奪われますが、身長以上の高さの崖から転落しているので、最悪どこかを骨折している可能性もあり、動けなくなっていたわけです。
だとすると、椎ちゃんに向かって「自分でよじ登って」というのはかなり無茶な要求ですし、それからバイクの前かごに放り込んで夜風に当てながら家に連れて帰るというのもリスク高いです。よくあれで助かったなーと。
あと、富士山をスーパーカブで登るくだりも、ちょっと無茶が過ぎるなと思いました。オフロード仕様でもないカブで山道を登って転倒すれば、かすり傷程度ではすまないと指摘している人もいましたが、そうしたことも捨象されているのが非常に気になりました。{/netabare}
法令違反系のエピソードについては、アニメですしあまり気にしないたちなのですが、人命にかかわるところだけはさすがにちょっと見逃せません。その意味で、違和感が強く残ってしまったもったいない作品でした。