nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ガンダム作品NO1に推したい。
ものすごいSF的な作り込みでした。過去の複数のガンダムとの連続性を発掘とナノマシンという設定でうまく処理しています。
原作(亡国のイージスの福井晴敏)にあったのかアニメで説明があったのか記憶にないですが、文明の発展度が故意に抑えられていて、第1次世界大戦の前くらい1900年ごろの文明の人間がモビルスーツを扱うという話になっています。ここが非常にSF的に面白かったです。デストピアものでもあります。
資本家または領主と労働者、農民、軍人たちなど様々な人々が丁寧に描写されており、興味深く、面白くこの物語世界が活き活きと描かれていました。
これら地球で暮らす人々がが、本人たちは真面目にやっているんでしょうが、圧倒的な文明度・戦力の差が理解できない部分などは、コミカルでもあり、滑稽でもあり、また、悲しくもありました。
月側の人間たち。こっちも高度に発展しているようで、実は地球と同じく進歩はしてないみたいですね。女王は冷凍睡眠を活用して超長命なのでしょうが、それも限界にきています。その女王サイドと武闘派の地球進出への思惑の差が物語の中心といえます。ただ、複雑な話ではないので、素直にストーリーを楽しめばいいでしょう。
ガンダムの特徴である戦争物における人の死、という要素もあるにはありますし、物語にも入ってきますが、主題の比重としては少し弱い気がします。
本作においてその代わりに、生きること=生活の中のガンダムという主題に転換していて、前半はここが大変面白くストーリーになっていて、新鮮な視点が生まれると思います。
黒歴史という言葉の語源にもなった、過去の地球のモビルスーツの歴史の終焉というか滅びの切っかけから、月、地球に分かれた人類の時を超えた邂逅がもたらす戦乱と、それを見守ってきた女王の戦い、そして、安らぎ。最終話は本当に文学的で素晴らしく、そして、悲しみというか、終焉というか、非常に心に残る作品でした。
ガンダムという概念はここで一回終わらせるべきなんだろうな、という感慨もありました。
美しいモビルスーツのデザイン。味のあるセリフ回し。古き良きアメリカの人々の暮らしと自然の風景。そんな舞台の中、少々デフォルメされて癖がある登場人物たちが、活き活きと活躍します。
SF設定、物語性、文学性、アニメの出来、OPED等々、総合的に考えると、ファーストよりも上、ガンダムシリーズNO1だと思っています。
絵の好みがわかれるでしょう。私も初見ではえっとなりましたが、見ていると物語の雰囲気にあって、段々その出来の良さが楽しめるようになりました。
ガンダムかどうかは考えなくてもいいです。物語として普通に面白いです。
ですが、ガンダムファンこそぜひ、ガンダムの行き着く未来の物語を体験してほしいです。なんと、シャイニングフィンガーもでてきます。