ゲリオ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ゆるキャン静岡編
我がふるさと、山梨の命運を掛けたアニメの第2期。
と言っても、最近は前期の"神様になった日"や来期の"スーパーカブ"など山梨アニメが謎の量産体制に入った。
それでも県としては今のところ「ゆるキャン推し」が最優先になっている現状。やはり県の活性化に成功した実績が既にある本作にかかる期待は大きい。
ところが、2期は山梨ネタが尽きたのか、静岡への遠征キャンプが大部分を締めることになるのは皮肉な話…w
評価としては1期とほぼ同等。
相変わらず作画は高品質、優しくノスタルジックな雰囲気が表現できていた。
キャラクターは2期に有りがちな新キャラが登場せず(しいて言えばチビ犬子のみ)これまで通り同級生5人の日常が描かれた。
この5人が必ずしも全員一緒に行動をせず、キャンプに行くのも、ときには3人だったりソロだったりすることは、他のきらら系および日常作品と異なる大きな特色。
5人でひとつの日常ではなく、各人それぞれの日常が離れていても交差し支え合ってる感じがとてもいいよなぁ〜と思った。
離れ離れの5人を繋げるツールはやはりLINE。
LINEがキャラ間のコミュニケーション表現に用いられるのは、ここ数年のアニメにおいて本作に限ったことではないが、特にゆるキャンのLINE登場率の高さは異常。
一方で10年以上前から存在するアニメでは未だにガラケーが使われてたりする。
2030年に現在のアニメを見たら「10〜20年前のアニメLINE出過ぎ 時代を感じる」と言われるのだろうか。わりかし興味深い話。
ちなみにリンちゃんのLINEの文面は一昔前の陰キャみたいで、なんか声を出して読み上げられるとムズ痒い。狙ってやってるんだろうが。
ストーリー面については日常系は中身が薄いと言われるのが定説なのだが、本作はきちんと各話・各章で見どころがある点が強み。
メインキャラは1期と同様同級生5人組と前述したけれど、シーズン2ではサブキャラにスポットが当たる回がいくつかあった。
例えば4話では、日々なでしこを陰で支えるお姉さんの愛情が描かれ、いつもクールで表情があまり変化しないキャラでありながら、実はどれだけ妹を溺愛しているのが判明して尊みの極み。
ラストシーンの笑顔良かったわ。家を背景に なでしこの夜間の行動が再現された特殊エンディング映像、これにはアニメスタッフの有能ぶりを認めざるを得ない。
9話には本作のナレーションも担当するリンのお爺ちゃん(cv大塚明夫)が訪れる。
最後のツーリング後、満面の笑顔とともに発せられた「まさかリンと(バイクを)走れる日が来るとは思ってもみなかったよ」の台詞に涙腺崩壊必至。
ずっと圧倒的に渋く落ち着いた喋りだったお爺ちゃんがこのシーンのみ、孫を想う優しさに満ちた声になってるのが、ちょっとこれ…やはり大塚さんは神!
その他5〜6話、千明&あおい&恵那の3人回ではキャンプに伴う危険についてが描写され、7〜8話では、なでしこのソロキャンデビュー…と心配でこっそり付いてきたリン&姉回。10話〜最終話は全員で伊豆キャン観光という構成だった。
単独、少数、大勢。それぞれのキャンプの楽しさが視聴者に伝わった。
コロナで自粛が求められる昨今、早く旅行に出かけたいとアニメに触発された人も結構いるんじゃないかな?
ちなみに聖地巡礼で山梨に来るのはいいけど、なんも無さすぎてガッカリしてもご容赦ください…。
総評としては、日常作品としてほぼ完璧な出来。
今後、ゆるキャンに匹敵する作品でなければ良作に成りえなくなったことを考えると、日常モノのハードルを大きく上げてしまったアニメといえる。
余談ながら、本作のリンちゃんというキャラクターは根っからの孤高のキャンパーだなぁと。シーズン2最終章にて全員で旅行に行ってるのに、一人だけ現地まで原付き移動とか、こっそり抜け出して一人観光を満喫とか…
これは、そういう単独行動を好む子も世の中にはいるということを伝えるための敢えての描写であろう。また、そんなリンの行動を許容する友人たちも優しい世界。
「群れるのだけが友達じゃない」という他のアニメでは表現し得ないことが出来た点は評価に値するのではないかと考える。
2022年に劇場版の公開が決定。
大人になったリンやなでしこの未来のストーリーという噂もあって楽しみ。
山梨でも間違いなく上映されることが予想されるので必ず観に行きたいね。