ケー さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
オリジナリティー
原作は未読です。
いくつか設定に疑問を感じつつも概ね面白く最終話まで拝見しました。
そして他の方の感想も気になりレビューを読んでいて、他作品と似ているという指摘があったので、その作品にも興味をもち視聴してみました。
視聴したのは「コードギアス 亡国のアキト」という作品です。
2012~2016年に公開されたアニメ映画です。
そこそこ有名な作品と思いますが、私はつい最近まで知りませんでした。
ちなみに本作「86」は2017年から小説が刊行されています。
もう何年も前から言われていたことのようですので、ご存じの方にはいまさらな内容のレビューです。
以下、「亡国のアキト」のネタバレ含みます。
{netabare}
「亡国のアキト」のあらすじ
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ヒロインは白人の女性。
白人の支配する国「共和国」に住んでいる。
彼女は貴族の出身で、共和国の軍に仕えるエリート士官でもある。
正義感が強く、周囲の反対にも我を曲げない頑なな一面をもつ。
彼女の父もまた共和国の中枢にいて影響力を持つ人物だったが、すでに他界している。
ヒロインの上司は、亡き父の友人で、軍の幹部として彼女の面倒を見ている。
共和国には隔離された区画に住む有色人種の被差別民がいる。
被差別民は、蔑称として彼らのエリアに割り振られた番号で呼ばれている。
共和国は隣接する強大な帝国にその存在を脅かされている。
共和国軍は隔離された被差別民の若者を兵士として前線に送り、多足歩行ロボットに載せて戦わせている。
白人である共和国軍の士官たちは、有色人種の若者の兵士たちを使い捨ての駒同様に扱い、無謀な作戦に従事させては次々と死なせている。
軍の司令官であるヒロインだけはその状況に疑問を抱き、差別に反対し、被差別民の若者を同じ人間として扱おうとする。
ある日、ヒロインの指揮下に主人公である被差別民の男性兵士が配属される。
主人公には特異な戦闘センスがあり、凄惨な作戦においても死線をくぐり抜け、ひとり生き残ってきた。
また彼には、戦場で死んでいった仲間たちの声が幻聴のように聞こえており、彼らの死を背負い戦っている。
主人公には生き別れの兄がいる。
その兄は訳あって敵国である帝国軍の指揮官になっている。
兄は生き別れる直前に弟を殺そうとし、主人公はそれをトラウマとして抱えている。
兄弟は帝国軍と共和国軍に分かれ、戦場で殺しあう運命にある。
戦いの日々を通じて、後方で指揮するヒロインと前線で戦う主人公は差別を乗り越え、次第に心を通わせていく。
そしてヒロイン自身も主人公とともに戦うべく命を懸けて前線での戦いに赴く。
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長くなりましたが、ここまで書いた「亡国のアキト」のプロットがほとんどそのまま本作「86」のプロットにも当てはまります。
意図的に共通部分を抜き出しているので意地悪な紹介の仕方かもしれませんが。
これを似ているだけと捉えるか、剽窃と判断するかは人によると思います。
私自身は、素人の趣味の作品ならまだしも、プロの作家の仕事としてはどうなんだろうと感じました。
ちなみにヒロインの通称は、86「レーナ」、亡国のアキト「レイラ」。
86の主人公の通称「シン」、亡国のアキトの主人公の兄の名前「シン」。
他にも、多足歩行ロボットがワイヤーアクションしたり、パイロットが感覚共有したり、ヒロインの女友達が理系の研究者だったり、ペットとして猫が出てきたり、書き切れませんが「おや?」と思う似ている設定がいくつもありました。
「亡国のアキト」以外の作品とも似ているという指摘も見かけましたが、そちらは未視聴なので触れないでおきます。
{/netabare}
たとえ似ていてもパクリでも出来た作品が面白ければそれで良いという考えもあると思いますが、個人的には創作過程も重要だと思います。
「影響を受けて似ている」と「パクリ」の境界はあいまいです。
過去には五輪のエンブレムとか、アニメでもダンスの振り付けとか、キャラの衣装とかが酷似しているとして問題になった例があります。
同じ電撃文庫の小説でも過去に盗作が原因で絶版、回収になったタイトルがあります。
物語のプロットや設定はどこまで流用が許容されるものなんでしょうか。
もちろん本作にもオリジナル要素は沢山あるでしょうし、アニメも今後の展開でどんどん独自な世界観が展開されていくのかもしれません。
ただ、少なくとも1期12話で見た範囲でいうと、オリジナリティーという点では評価がかなり下がりました。
本作の世界観設定の整合性が微妙に感じたのも、他から借りてきた設定の寄せ集めが原因だったのかもしれませんね。
これまで多くのアニメを見てきて、ここまで他作品とプロットや設定が酷似した例を見たのは初めてでしたので少し厳しめの感想になってしまいました。
普段は少し似ている程度ではまったく気にならないんですけどね。
当初は好感を持った作品だっただけに、舞台裏を覗いてがっかりしたというのが正直なところです。
作画や声優さんや音響、楽曲などはとても良かったと思います。