nyaro さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
かなり面白い。創作と批評について考えさせられました。
創作物が魂を持つということは、どういうことか。創作する側の思い入れと同時に、見る側受け手側の承認がなければならない。それは、ラノベだろうがアニメだろうがエロゲだろうが変わらない。そして動画サイトに投稿された自主製作のアニメであっても。
これだけ創作というものをメタ的に扱って、でも全然メタ的な視点にならなくて、なんていいますか、よく作者が語る「キャラが勝手に動く」という言葉をここまで魅力的に表現したのは素晴らしいと思います。
そしてこれだけ複数のキャラが出てきて、個性もあればバックボーンもあってちゃんと物語に絡んでいます。
ネット社会における創作者の苦悩も入っています。今ここで私がレビューを書いている行為がどういうことか。もちろんここのレビューの相手はプロですから遠慮はしませんが、しかし、世間に向かって、作品に対して好き勝手なことを言い散らかすことの無責任さも痛感するところです。
驚異的な絵の美しさと作画。緻密な設定とキャラ造形。よくぞここまでの水準で作ったなあと感心します。止め絵は多いですが、動きのある絵とメリハリで工夫して作ったんでしょう。光の使い方も上手で、迫力があります。
ストーリーも、アルタイルという敵キャラの存在理由、性格、行動原理が良く作りこまれているうえに、最期の解決がそれとよくマッチしていて、説得力がありました。この方向か、という解決ではありますが、タイトルにクリエーターの文字が入っているので、なるほど、そういうことか、という感じでした。
あのうそつきのJKが裏ヒロイン、なんでしょうかね。すごい存在感でした。ヌードもたっぷりだったですね。色気はまったく感じませんが。性格…なんでしょうか。ということはキャラ造形が上手かったということでしょう。
エロゲのJKも途中参加ですが、いいキャラでした。
あのうっとうしい女騎士も、魔法少女とのからみがあるので、なんていうか憎めなかったですね。
あまり評価が高くないですが、ストーリーは本当に面白く、アニメの出来も高水準です。また、創作するということ、それを世間に晒すということ、作品を楽しむということ、批評すること。いろいろ考えさせる良作でした。
(追記です;アルタイルというキャラは2次創作よりは、どうしても初音ミクを連想します。名前とイラストだけの存在に消費する側が後付けで意味付けすることで、共通認識としてキャラの性質が決まってくる。集合的無意識というより、むしろキャラのプロフィールやアウトラインが「消費のされ方」の集合によって決まってくるようなイメージという感じがして、ものすごくSF的です。そのSF的現象がもはや初音ミクによって現実に起こっているわけです。
本作は、そういう創作物は誰のものかということと、創作物が共通認識としてクリエータの手を離れて消費されてゆく現状が、概念としてものすごく良く描けていました。)