GIWEh77880 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
戦記アニメに名を残す作品
原作未読で噂話につられて視聴を開始しました。ですので、原作再現度とかは触れずに、アニメ純粋のクオリティとして話します。(ネタバレは一切なしです)
まず第一に、戦記アニメとしては一流の出来であるとはっきり言えます。今作において扱った議題が特に新鮮で、全成人徴兵を超える末期先に司令部と前線の意思疎通の齟齬、人種差別問題、特攻隊を彷彿とさせる死生観、人類の滅亡が目先に迫る終末論など、幅広い議題がアニメに組み込まれており、いろんな視点から常に毎話楽しむことが出来て、非常に面白かったです。
実のところ、自分自身はロボットアニメ自体には興味がなくて、戦闘シーンなどに熱中していたわけであはありませんでした(音響は素晴らしかったです)。ただ、「コードギアス」と面影を感じるようなテーマ性に溢れた作品ですので、人人の会話が非常に深く重く、その味わいが非常に良かったです。
最近では戦争アニメはめっきり減りましたが、戦後に流行ったような太平洋戦争の末期を感じさせる世界観を描いた「86-エイティシックス-」は、異色の作品だと感じます。文明があり人々があり命がある中、着実に迫りくる国家と人類の滅亡という、どうもしようがない問題に直面しているという世界観は、非常に新鮮で良かったです。
細かい作品の要素を上げれば、毎話の区切りと音楽の導入方法が非常によく、毎話ごとに話が区切られているのにも関わらず、一本のショート映画のような仕上がりにしています。また、「リゼロ」や「鬼滅の刃」のように質感と色調が非常に細かく作られており、撮影の制作努力がひしひしと感じました。
キャラクターや声優については、問題なく良かったと思います。作画崩壊は一切なく、滑ラかな描写とダイナミックなカメラ視点が多くて、好みでした。
戦争の中で揺れ動く人々の心、ロボットアニメという表向きに対して、内容は「ハートフル」な「戦争映画」です。前線に投入されて死を覚悟した人々の避けられぬ運命に、共感しながら深く楽しむことができるこのアニメは、軍事アニメやロボットアニメ好きだけではなく、誰もが楽しむことができる一流の出来前だと思っています。もし気になっているならば、ぜひご視聴ください。絶対に損はしないと思います。