nyaro さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
スーパーオタクアニメ…だと思います。
エロくて可愛いJCくらいの処女の女の子を出したい。今まで見たことがないカッコイイロボットを動かしたい。ヤマトの艦橋みたいなところをカッコ良くが描きたい。悪の組織とか陰謀とかもやりたい。
でもそれだけじゃ、単なるオタクだから、心理とか、母とか、宗教、集合的無意識、みたいなものをギミックで散りばめよう。
と、しか見れません。意図があるとすればオタクのオタクによるオタクのためのアニメ。あるいはオタクの逆襲。思春期の男の子の描き方が上手いのは当然です。オタクは永遠の14歳ですから。
童貞妄想で自分で自分を慰める。ある日突然マシンにのって世界を救う妄想。それが、エヴァンゲリオンというアニメです。
あまりにビッグネームですし深い考察をされている方もいらっしゃるので、馬鹿かと思われるので、言えませんでしたが、初見からそう思っていました。
もちろん、それぞれが高いレベルで作られているので、ストーリーはメチャメチャ面白いです。綾波もアスカも今見てもちょっと胸がときめきます。でも、深いかと言われると、うーんといつもなってしまいます。
エヴァの前のトップをねらえを見ても、ナディア、王立宇宙軍を見ても、SF設定、萌えの女の子、メカ、どれをとっても超一流です。ですが描きたいのは明らかに、それ自体です。それを突き詰めたのがエヴァです。
エヴァは、特にSF設定が秀逸なのと演出が上手いので深いように見えますが、実は世界観の作り込みがすごいだけで、じゃあ、そこに散りばめられたギミックとか象徴を回収する大いなるテーマがあるのか、という疑問に対し、私は単なる装飾であり、スーパーオタクアニメだ、という結論をつけました。
ディラックの海とか虚数解とか、なにかを言っているようで単なる装飾ですよね。ちょっと恥ずかしくなります。あのLCLも映画アビスとかで見て、単純にいいと思って使ったのでしょう。万事、そんな感じでどこかで見たSF的なカッコよさを追求しているだけに見えます。
プラグスーツも究極のエロ可愛い女の子を探っていった結果、あそこに行き着いたんでしょう。
アニメ史の文脈ではオタクアニメを突き詰めたことで表現としてはエポックメイキングだとは思いますが、その後、エヴァが変な風に難解に解釈されて、訳の分からないアニメが山のように作られました。アニメ衰退期というかアニメ暴走期ですね。要は答えなんかなかった、という事です。
この意味ではアニメの発展にブレーキをかけた、あるいは進化の方向を捻じ曲げたのかもしれません。その後の映画で、意味性を付け加えようとしたんだとは思いますが、少なくともテレビシリーズの段階の評価はこんな感じです。
アニメ業界がそこからやっと脱出できたきっかけが、涼宮ハルヒだと思っています。
または時代性がわからないので、同時代の人には違う意見があるかもしれません。
追記;内容がゼロといっているわけでなく、自己肯定感の欠如、劣等感、承認欲求、性へのあこがれ、みたいな14歳の少年少女の内面はちゃんとありました。が、それはストーリーの本筋としてきちんと表現されていました。